2023年1月14日土曜日

東京水天宮の犬張り子


この犬張り子を見た時、
「ん?そっくりの犬張り子を持っていたことがあったような?」
という記憶が、記憶のかさぶたの下の下の方から蘇ってきました。
浅緑色の飾り布、そしてこの顔(似ているけれど、一応個性もある)の犬張り子は、もう何十年も見ていませんが、見覚えがあります。

ちなみに、これは安産祈願で有名な東京水天宮の犬張り子です。


背中に結んだ麻にも見覚えがありますが、私は水天宮の犬張り子を持っていたことがありません。水天宮にこんな犬張り子がいたことも知りませんでした。水天宮の絵馬は持っているのですが、絵馬に描かれている犬張り子とはまったくの別ものです。

そのうち記憶がちょっとはっきりしてきて、持っていた、これに似た犬張り子は、芝大神宮の犬張り子と思い当りました。芝大神宮と言えば、千木筥が有名でした。しかも私が郷土玩具を集め始めた十代のころは、千木筥は9月の例大祭のときにだけしか授与されず、その日に芝大神宮に行く以外手に入れることはできませんでした。
千木筥を知ってから何年か後に、やっと都合をつけてお参りした芝大神宮で、犬張り子を見つけて一緒にいただいてきたのでした。


芝大神宮の張り子がどんなものだったかとネットで探すと、あるブログで、都合よく芝大神宮の犬張り子と水天宮の犬張り子が並んでいる写真を見つけました。
これこれ、芝大神宮の犬張り子は三つ巴の紋でした。左が芝大神宮の犬張り子、右が水天宮の犬張り子、2つはそっくりで、飾り布の紋だけが違います。
私の持っていた芝大神宮の犬張り子は、ダンボール箱もない時代にあちこち連れまわされ、つぶれたか破れてしまい、泣く泣く捨てたのでしょう。


さて、1970年ごろまでは、水天宮ではこの犬張り子を授与していたようです。
それから、犬張り子にどんな変遷があったのかなかったのか、


今水天宮では、こんな犬張り子が授与されています。
今でも日本でつくられているのかどうか、彩色に手がかかりそうな犬張り子です。


こちらは、芝大神宮の犬張り子を思い出させるほどではないけれど、似たコンセプトでつくられた張り子で、飾り布には牡丹の花がスタンプされています。同じ時代のもの、東京のどこかの神社の犬張り子だと思いますが、どこだったのでしょう?


背中に無造作に麻ひもが結わえてありますが、麻は生活の中で大切なものだったことから神社でよく使われていました。
神社で使うものだからと、大麻が今より手広く栽培されていた時代だからつくることができた犬張り子だったのでしょう。






 

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