2016年4月21日木曜日

アフリカの角の木彫り


エチオピアの、木彫りのボウルです。


オモ渓谷のものだと、聞きました。


もう一つ、手のついたのエチオピアのボウルを持っています。
エチオピアに詳しい友人に、誰がつくったものか、何に使うか訊いたことがありましたが、よく知らないとのことでした。
こんなボウルは、小麦のパンを主食とする人たちでも、テフのインジェラを主食とする人たちでも、エンセーテのでんぷんを主食とする人たちでも、それぞれに役立つと思われます。


左は、新しくつくられて、市場で売られていた(といっても、35年以上前)、ソマリアのボウルです。
右のエチオピアのボウルとは木も、形も、大きさも違いますが、持ち手があるところが似ています。近くですから、お互いに、影響し合っていたのかもしれません。


エチオピアは、他のアフリカ諸国の例にもれず、かつてヨーロッパ列強によって分割された多民族国家です。
北の方にはアムハラ人がたくさんいて、南の方にはオロモ人がたくさんいますが、ソマリアと分断されて住むソマリ人を含め、たくさんの、大小の民族グループの人々が暮らしています。

オモ渓谷とは、エチオピアとケニアの国境にあるトゥルカナ湖に流れ込んでいる、オモ川の流域であろうと、ネット検索してみました。
すると、
「なんだ、なんだ!」
オモ渓谷に住む、ムルシ人、スルマ人など少数民族の人々の、あまりにも独創的な装いに圧倒されてしまいました。


少女たちは、泥や花で美しい装飾を施しています。

豆飾りの少年。


唇や耳に輪っかを入れる人々が住んでいる、くらいの知識しか持ち合わせていませんでしたが、すごい!
その見事な装いに圧倒され、しばらくは、ただただ茫然としておりました。


心を落ち着けて、写真の中に木のボウルをさがしてみても、目につくのはひょうたん(かんぴょう)のボウルばかりです。


ひょうたんで器がつくれるなら、木をくりぬいてつくるより、ずっと簡単です。


ひょうたんの、どれも魅力的な器を見ながら、もしかしたらオモ渓谷では木のボウルが使われていないのかと思いはじめたころ、やっと木彫りのボウルを見つけました。


しかも、とびきり素敵なボウル、頭に乗せて運んでいます。
大きさは違いますが、紐をかけるようになっているところといい、形といい、まさしくエチオピアのボウルです。


オモ川を河口までたどると、そこはトゥルカナ湖です。
トゥルカナ湖の周辺に住む、トゥルカナ人たちもまた、木工に優れた人たちで、薄い、素敵な器をつくっています。

アフリカ全体で、木彫りがたくさん見られますが、アフリカの角と呼ばれるこのあたりに住む人々もまた、木工にはとても優れているようです。


さて、検索の副産物で、嬉しい写真を見つけました。
ソマリ人がつくったミルク入れです。これにミルクを入れて、ラクダの背につけてとことこと歩いているうちに分離してバターができるという容器です。

この写真は、ミルク入れを持っている人がソマリ人かどうか調べずに借用して、あとで
「あれっ、誰だったかしら?」
とさがしましたが、残念ながら見つかりませんでした。
ソマリ人も含めて、彼らの多くは移動の民でもありますから、あのあたり一帯で、広範囲に交易がおこなわれていたとは考えられます。


つくって使う。使い切る。
半砂漠の民、渓谷の民の生活が、しのばれます。








5 件のコメント:

昭ちゃん さんのコメント...

 一連の写真を見ると自然の中で生きることの
たくましさって忘れてしまいましたね、
意味が違うけれど
昭和20年私もハングリーでタフだったなー

さんのコメント...

昭ちゃん
楽しみの見つけ方がすごいです。びっくりしました。
この写真のほかにも、ボディーペインティングなんか、あっと驚く美しさ、奇抜さ。人間も、捨てたもんじゃないですね(^^♪
でもこんな楽しい社会も、今頃はケイタイの普及で変わったでしょうね。

kuskus さんのコメント...

すごい、すごい。
大胆に自分を飾りたてるアフリカのひとたちのセンスには
脱帽ですね。
顔や身体に泥でペインティングするのや、傷の跡の肉の盛り上がりで
身体中をレリーフのようにするのなどは写真で見たことがあったけど、
この植物で顔周りを装飾するひとたちは初めて見ました。
まるで妖精みたいじゃないですかー。
森陰からこのひとたちがひょいと顔を出したりしたら、素敵ですね〜♪
豆飾りの少年の下の写真、巻きつけてあるのはリュウキュウスズメノウリかしら?

さんのコメント...

kuskusさん
みんな似た、日本のハローウィンの仮装なんて、ちゃんチャラおかしいですよね。しかも町ではなくて、これで自然に繰り出していくのだから、すごいです。
エチオピアの木の枕を使うノマドの男性たちは髪を結いあげていて、それを崩さないように首にあてる枕を使うのですが、この人たちは、髪は最小限残して剃ってしまうそうです。身体を装飾しやすいように。そして、頭に粘土をくっつけて、それに鳥の羽をさしたりするんですって。
ナイル源流流域の人たちのことは、レニ・リーフェンシュタールや野町和嘉さんなどの写真で馴染みがありましたが、オモ流域の人たちは全く知りませんでした。
ただ、この写真の多くを撮ったハンス・シルベスターは1938年生まれだからもうご高齢。今ではこのあたりの人たちも、観光客にすっかり毒されたりして、もとの生活は失われているかもしれないですね。今日そのハンス・シルベスターの本をUPしました。写真はどれも素晴らしくて、全部紹介したいくらいでした。

さんのコメント...

kuskusさん
忘れた。
あの実、リュウキュウスズメウリですよね。そう思ってみていました。
ワルナスビとか、繁殖力の旺盛な植物には、国境なんてないようです。