骨董市で、顔馴染みの骨董屋さんの店先に、桐でできた置き薬の箱がありました。
引き出しになっている置き薬の箱はちょっとしたものを入れておくのに便利です。ただ、棚に置いて、その上にはなにかを乗せたりしたいので、前面がきれいなものでないと、欲しくありません。
この薬箱、前面はとても汚いのです。
でも、貼りつけたシールに、会社名や個人名とともに、地元の住所が見えたので、「おやっ」と思ってしまいました。
連絡先が地元になっているということは、いったいどういうことでしょう?
前面と違って、上面のシールはきれいに残っています。
赤ぐすり、青ぐすりと大きく薬名を書いた下に福助さんがいて、その下の太陽堂製薬株式会社の所在地は、置き薬の本場の富山ではなく、奈良県高取町となっています。
そうか、太陽堂は、富山の薬売りのように、置き薬を持ってはるばるやって来たのではなく、石岡をはじめ、各地に現地雇いの人を置いて、宣伝や薬の補填を行っていたのか?がぜん関心が出てきて、その箱をいただいてきました。
別の地域に人を置くことができた、太陽堂は大きな会社であったに違いありません。と、検索してみると、いまも太陽堂は健在で、赤ぐすりと青ぐすりもありました。
太陽堂のホームページより、昔の看板 |
小さいころ、馴染んだ覚えは全くありませんが、赤ぐすり青ぐすりに馴染んで育った人もいるのでしょうか?
引き出しの中が少し汚れていたので、掃除しようと抜きました。すると、引き出しの後面に、「預け薬置数表」が貼りつけてありました。表に見える数字は、昭和41年(1966年)、ちょうど50年前のものです。
こんなところで管理していたのかと、家にあったほかの置き薬の引き出しも抜いてみました。
山田済生堂の引き出しの奥の置数表は、昭和49年(1974年)からはじまっています。
室田薬品商會の置数表には、日付がありませんでしたが、紙の質から見て、山田済生の薬箱より古そうでした。
さて、赤ぐすり青ぐすりの箱です。
骨董屋さんは、
「福助さんの前に何がいるのかと思ったら、招き猫なのよ。すっごくかわいいでしょう?」
とにこにこ勧めます。
よく見ると、その猫は招いていません。それに、かわいいかどうかも、ちょっと疑問です。
福助さんのお顔は、古い看板のお顔の方がかわいいと思います。
いくら私が縁起物好きといっても、室田薬品商會の箱の方が面白いと思ってしまいます。
ともあれ、富山の薬箱たちはどちらも紙製なので、太陽堂のは桐箱は、ちょっと差をつけています。
太陽堂の薬箱は、しばらく蚊取り線香入れとして、作業棟で使ってみるつもりです。
2 件のコメント:
面白いですねー
私の時代は(昭和10年)四角な袋で斜にさげます。
とんぷくや赤玉はよく呑みましたー
昭ちゃん
状差しのようなものですか?私も、ここに来て初めて引き出しを知りました。地域によって置き薬入れが違っていたのは不思議です。
一年に一度くらい、富山の薬売りが回ってきました。とんぷくや、ワーム(のちのムヒ?)がありました。
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