フランス製のサラダサーバーを持っています。
フォークとスプーン部分が動物の角でできていて、それを金属で木の柄とつないであります。
明かりに透かして見ると、角に金属(たぶん)を突き刺してありますが、
金属の薄い板でカバーしたその中が、何でできているのかは、外からはわかりません。
そういえば、ヨーロッパのビンテージのサラダサーバーで、金属製のものは見ることがありますが、木製のものは見たことがありません。
木製はなかったのか、それとも木なので使い古してしまったのか、サラダサーバーそのものに古い歴史がないのか、そのあたりはよくわかりません。
このサラダサーバー、わりと昔から我が家にあるのですが、ちょっと長すぎて、そのためあまり出番がありません。
ちなみに、サラダサーバーは、22センチのものをもっともよく使い、次が24センチのものです。
31センチのオリーブの木のものは長すぎて、今では料理用へらに成り下がっているし、20センチのものは短すぎて使えません。
これは28センチあります。サラダボールとのバランスもあると思いますが、ちょっとしたことで、使いやすかったり、そうでなかったりします。
さて、先日久しぶり使っていて、いったい何の角だろうかと思いました。
ネットで「角細工」を検索してみると、現在つくられている角細工のカトラリーのほとんどは、水牛の角でした。
フランスには水牛がいないから、植民地から取り寄せたのか、とさらに調べると、マダガスカルではセブ牛(コブウシ)の角から、細工物をつくっているようでした。
セブ牛の角 |
といってもセブ牛も、飼われているのはだいたい熱帯です。
デンマークの、「織物博物館」発行のカタログ冊子には、ものづくりの一つとして角細工が載っています。
しかし、この写真を見ても、私にはこれが何の角かわからないし、デンマーク語で書いてあるので、読めません。
右上は、山羊の角のようにも見えます。左上は、金属でつくった型紙(型金)でしょう。
この写真の角職人さんが切っている角は、大きさからいって、牛か水牛の角に見えます。もともとヨーロッパで飼われている牛の角も、角細工に適しているのでしょうか?
角職人さんがいたのは、1800年代だそうです。
やがて、工場製品の金属のカトラリーやサラダサーバーが席巻して、角職人は消えて行ったのでしょう。
角細工の道具は、職人さんの手づくりに見えます。
さて、このサラダサーバーの金属部分は、機械で型押ししたものとはいえ、美しく仕上がっています。
下半分には、二枚合わせた継ぎ目が見えますが、上半分は継ぎ目もないかのように磨いてあります。
そして、このすべすべの木は何でしょう?
チークにも見えますが、もしチークだったとしたら、仏領インドシナからもたらされたものに違いありません。
一組のサラダサーバーにも、いろいろな歴史が詰まっているなぁと、改めて思ったものでした。
追記:
柄は木だとばかり思っていましたが、たぶん柄も角です。
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