2018年5月19日土曜日

京生まれどすえ


さしたる特徴のない招き猫、柔らかい泥を、型に流し込んでつくったもので、おそらく京都で売られていた、土産ものの猫だと思われます。
新京極あたりの、修学旅行生相手の土産もの屋が並んでいるあたりの、手軽な土産ものだったのでしょう。


大きい方も、京都のお土産猫です。
チープ感が漂っていますが、今も売られているのでしょうか。


大きい方の猫は底に、「京都市・市観光協会 推奨 501」と書かれたシールが貼ってあります。

戦後、千万両と書かれた小判を持った常滑系の招き猫が大衆食堂の店先を中心に、日本国中を席巻しました。そんな、小判を持った招き猫全盛の中で、京都の招き猫たちは小判も持たず、独自のスタイルを持っていました。


もっとも、若いころの私が好きだったのは、参寧坂や清水坂で売られている豆人形で、学生時代もよく行きましたが、倉敷にあった祖母の家に行くために京都を通るとき、途中下車しても行ってみたのは、いつも参寧坂や清水坂界隈でした。


参寧坂にあった、大きなガラスのショーウインドーのある店は、かわいい豆人形をたくさん並べていましたが、いつ行っても閉まっていました。
この店にはおそらく、前後十年くらい通ってみたと思いますが、結局開けていた時があって目的を達したのか、あるいは閉まったままだったのか、今となっては記憶もあやふやですが、この羽織姿の招き猫がそこにいたような気がします。


さて、お土産ものの京都の猫ですが、こうやって並べてみると、「安もの感」より、「都のみやび」を漂わせていると思うのは、私だけでしょうか。
大きい猫は、傷ついているからと値引きしてもらって、今はない中野の招き猫専門店で買ったものですが、2011年の地震で脇腹に穴が開き、破片が中に落ちていて、ジャラジャラと嫌な音を立てます。
そんな傷だらけの猫ですが、脇腹に穴が開いただけで3.11を生き抜いたなんて、奇跡のようでした。






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