2019年6月4日火曜日

正方形のお膳


板を削りだしたお膳です。
15年ほど前だったか、母のところに行くとお盆として使っていました。岡山県倉敷市にあった祖母の家を処分したとき、持ってきたものだとのこと、
「半分あげようか?」
と言われて、5枚貰ってきました。
以来我が家ではお盆として、お客さんがあるときは、コップや小鉢を乗せておく配膳盆として重宝しています。


祖母の住んでいた集落には13軒の家があり、いずれも真言宗だったのか、毎月の21日に、持ち回りでお大師講をやっていました。
暗くなってから各家から一人ずつ集まり、「お看経(おかんき)」をあげてから、精進料理をいただくのです。13軒ですから、各戸は1年に約1度の割合で、集落の人たちを家に迎えていたのです。このお膳はそのとき使われていたものでした。
お膳の手前にはご飯と、豆腐を1センチ角くらいに細かく切ってたっぷり入れた味噌汁、真ん中には「おひら」と呼ばれた厚揚げを大きな真四角のまま甘辛く煮て汁とともによそい、真ん中にすりおろしたしょうがを乗せたもの、そして奥には紅白なますとあと一品、おひたしだったか何だったか思い出せないものが乗っていました。
お酒はなしで、食べ終わったらちょっと世間話をして帰って行ったと思います。小学生の私は、祖母の代理で、よくそのお大師講に行かされていました。
そんな大人の集会に参加して(させられて)いた子どもは、私とご両親を亡くされて祖父母に引き取られていた一つ年上のまさちゃんだけでした。


さて、先日の骨董市で、このお膳とまったく同じものが8枚ほど、水屋さんの店先に並んでいました。何という奇遇!
骨董市には全国のものが集まりますが、それでも関東、東北のものが多いと思います。いったいどこから来たものか、水屋さんに訊きたいと思いながら、何度通ってもお客さんと楽しそうに話している水屋さんに遠慮して、声を掛けないで帰ってきてしまいました。

岡山には烏城彫りという木工がありますが、それは轆轤を使って挽いたお盆などに、ノミや彫刻刀を使って模様を彫り出すもの、全体をノミで仕上げて拭き漆を塗ったこのお膳とはまったく違います。
一体どこでつくられたものでしょう?
今度の骨董市で、忘れないで水屋さんに訊いてみたいと思います。







2 件のコメント:

hiyoco さんのコメント...

毎月集まりがあったのですね。春さんは大人の集まりを嫌だと思っていたのですか?それともそれなりに楽しんでいたのですか?
全く同じではありませんが、讃岐塗とか讃岐彫りの角膳に似ている気がするのですがどうでしょう?もちろん水屋さんにも要確認ですが~。

さんのコメント...

hiyocoさん
それが、全然楽しみではなかったけれど嫌でもなかったとしか言いようがありません。当然の義務だと思っていました(笑)。
祖母は若いころ学校教師をしていて、当時も婦人会会長などやっていて、農村女性の地位向上になること、例えば小学校の講堂に編みものや縫いもの、バッグつくりの講師を招いてきて講習会を開いて普及するとかいろいろやっていましたが、なぜか表に立つのが嫌いな人でした。例えばデパートの食堂で私の小学校の校長先生(祖母とは旧知の仲)を見かけたと話したら、「見ないふりをしなさい」といって気配を消すとか(笑)。
お葬式も、特に親しい人以外はほぼ代理で行かされました。「この度は、むにゃむにゃむにゃと言葉を濁して下を向けばいい」などと教えてもらって(爆)。神主さんのお葬式など、仏式を違っていて、興味津々でした。

確かに讃岐塗に似てますね。讃岐はとっても近かったし、可能性大です。今の香川県の塗りものは持っていますが、これが讃岐とは思いつきませんでした。水屋さんに訊いても見ますが、遠くだから知らないかもしれませんね。ありがとう。