植物繊維でもたやすく染めることのできる藍の発見は、人間の生活に大きな影響を与えてきました。
写真は、マリ共和国に住むドゴンの手紡ぎ、手織り、藍染めの布です。
『Architecture Without Architects』より |
ドゴンは、ニジェール川流域に面したバンディアガラ山の断崖に住む人たちで、人口は約25万人です。
同上 |
ドゴンの何とも美しい生活は、たくさんのカメラマンの手によって紹介されてきましたが、1964年に出版された『Architecture Without Architects(建築家なしの建築)』の著者、バーナード・ルドフスキーはその先駆けでした。今のように情報もない、交通もない時代、ルドフスキーは世界中の美しい建築を見て回りましたが、中でもドゴンの日常生活の豊かさには度肝を抜かれたことと思います。
ドゴンの藍染めには絞り染めが多いのですが、この布は、ミレットやシコクビエから採ったでんぷんで模様を描き、藍に染めてから糊を落として模様をつくったものです。
藍はインド藍です。糊染めはナイジェリアのヨルバなどでも行われています。
中央から左寄りに、布のつなぎ目が見えます。
幅9センチの細く織った布を7枚つなぎ合わせ、つないでから糊を置いています。糸は細く紡いであり、布は何度も洗われて、柔らかくなっています。
糊は蝋のようには染み込まないので、布には裏表ができます。
たぶん、もともとはこの倍の大きさの布で、市場に出す前に半分にされたか、あるいは市場で半分にされたかでしょう。
もともとは、寝具として使われていた布と思われます。そして、ネットでは新しい藍染め布も見かけるので、ドゴンの人たちは今でも藍染めを続けているものと思われます。
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