2016年1月17日日曜日

クマ画伯

ロシアのバガロツカエは、マトリョーシカの一大産地セルギエフ・パサードの近郊にある、木工が盛んな小さな町です。
バガロツカエのもっとも有名な木のおもちゃは、丸い板の上に何羽もの鶏が丸くなっていて、真ん中に糸で錘がぶら下がっていて、前後左右に動かすと、鶏が次々とえさをついばむおもちゃで、世界中でコピーがつくられているほど、よく知られたおもちゃです。

バガロツカエのおもちゃには、鶏だけでなく、クマのモチーフのおもちゃもいろいろあります。クマが蜂蜜を食べるもの、二匹でチェスを楽しむもの、鐘を鳴らすものなどなどです。
以前、『マトリョーシカ大図鑑』(沼田元氣著、二見書房、2010年)で、クマがマトリョーシカに絵つけをしている、バガロツカエの木のおもちゃの写真を見たことがありました。
マトリョーシカ好きの私としては、興味津々でしたが、クマとマトリョーシカを組み合わせたおもちゃに、なかなか出逢うことはできませんでした。

最近、あるマトリョーシカを探していて、「ヤーブロチカ」というロシア雑貨のお店を知りました。
ヤーブロチカの店長の高橋郁夫さんは、ロシアが大好きな方で(ロシア雑貨店の店長は誰もがロシア好きですが)、「何か欲しいものがあったら言ってくれ」と、ご親切に申し出てくださいました。
それで思い出したのは、クマがマトリョーシカに絵つけしている、白木のおもちゃでした。試しに訊いてみると、ひゃぁ、運よく在庫があるとのことでした。


というわけで、高橋さんが「クマ画伯」と呼んでいる、クマがマトリョーシカに絵つけしているおもちゃがやってきました。
高橋さんのお話では、バガロツカエには小さな木工所がたくさんあって、クマ画伯も木工所によって少しずつ違うものがつくられていて、ヤーブロチカで前に扱ったものは、これと同じではなかったそうでした。

ヤーブロチカの写真より

これが、ヤーブロチカで前に扱ったクマ画伯です。
クマは腰かけて、丸いパレットを持っています。


さて、届いた「クマ画伯」を見たときに、まず不思議に思ったのは、マトリョーシカの頭に金具がついていることでした。
「何故だろう?」
でも、すぐに理由がわかりました。
木工作家さんが自分でマトリョーシカをつくらないで、市販のストラップを買ってきて据えつけたのです。
まぁ、だからといって、かわいさが減少するものでもありません。


持ち上げると、すぐに筆を持った手が動いて、クマが色を塗りはじめます。

試しに、『マトリョーシカ大図鑑』に載っていたクマ画伯はどんなのだったか、本をを開いてみました。


これこれ。
やっぱり、制作中のマトリョーシカは完成したものではなく、未完成でありたいものです。
絵筆は赤いのと黄色いのを二本も持っています。


同じく『マトリョーシカ大図鑑』に載っていた別のクマ画伯です。
こちらは、我が家に来たクマ画伯同様、マトリョーシカは市販のものを使ったに違いありません。
  

いつか、マトリョーシカが未完成のおもちゃも欲しいものです。
高橋さんのお話によると、木工に携わる人たちの人口はどんどん減っていて、何百年も続いた木工の町、バガロツカエの存続は、風前の灯火だそうです。

ちなみに、バガロツカエという呼び方は、『ぬくもり雑貨いっぱいのロシアへ』の著者、花井景子さんに倣いましたが、高橋さんはボゴロツキー、沼田元氣さんはボゴロツカヤと呼んでいらっしゃいます。ロシアの地名は難しいですね。




2 件のコメント:

昭ちゃん さんのコメント...

典型的な大雪のパターンになりましたね、
北の寒気と低気圧の通過です。
いわゆるドカ雪で三月ごろ東京で体験しました。(1986.03.23)
自習時間を楽しんでくださいね。
 流感のピークも2月とか、、、

さんのコメント...

昭ちゃん
今日棟上げの予定でしたが、プレカット屋さんの勘違いで一週間延びました。よかった。今日は朝から雨が降って強い風も吹いています。とうてい大工さんが高いところに登れるお天気ではありません。
まあ、毎日が自習時間ですが、今日はのんびりします(笑)。