2018年1月24日水曜日

世界のおもちゃ


昨年、益子のビンテージショップ内町工場で、この本を見たときは、買うのを見送りました。


というのは、似た本、『THE WORLD OF TOYS』(Josef Kandert著、HAMLYN、1992年)を持っていたからです。しかも、内容としてはこちらの方がずっと充実しています。

益子で見た『THE WORLD OF TOYS』(ROBERT CULFF著、HAMLYN)は、1969年に出版されています。それから23年後にJosef Kandertの本が出版されたのですが、この年月は世界を変えていました。
1969年にはまだ、輸送網も情報網も格段に小さいものでした。そのため世界は今より広く、著者の知識にも限界があり、世界のおもちゃと名打っているとはいえ、ほとんどはヨーロッパのおもちゃに限定されていたのです。
 

1969年版のメキシコのおもちゃの紹介写真はこれだけです。ほかの中南米諸国のおもちゃはありません。


そして、日本のおもちゃ紹介の写真は、いただきものなのか、寄せ集め感がただよっています。
1969年は東西冷戦時代で、アメリカはヴェトナム戦争を戦っている真っ最中でしたから、マトリョーシカを除いては、ロシアや東欧からのおもちゃもありません。中国のおもちゃもなければ、おもちゃ大国のインドや、そのほかの国々のおもちゃも、まったく載っていません。

そんな本ですが、長所が一つありました。世界のおもちゃにページを割いてない分、欧米のおもちゃについては充実していたのです。
特に一枚の写真が忘れられませんでした。電話して取り置きしてもらうほどではないけれど、次に行ったときに売れ残っていれば買おうと思っていて、お正月に益子に行ったのでお店に寄ったら、めでたくまだ残っていました。


その、一枚の写真とは、この通称ダッチドールのものでした。
木人形は、サイズがこんなにたくさんあったのです。


人形も多いけれど、ドールハウスもいろいろ載っています。
こんな精巧なミニチュアで遊んだ子どもは、どんな子どもだったのでしょう。


ダッチドールが店番しているドールハウスもありました。
これを見ていると、我が家の裸のままの木人形にも、ドレスを着せてやりたくなります。

昔の遊びと言えば、女の子は人形遊び、男の子は戦争ごっこだったのでしょう。


戦争ごっこのための鉛の兵隊さんなども、数多く紹介されていました。


時代は変わり、1992年発行の 『THE WORLD OF TOYS』には、戦争を連想させるようなおもちゃは、ほとんど載っていません。
見せ方も、木のおもちゃ、土のおもちゃ、紙のおもちゃ、動くおもちゃ、編んだおもちゃなどという分け方がしてあり、博物館に並ぶようなおもちゃより、もっと親しみやすい、各国のおもちゃが並んでいます。


どの地域のおもちゃも、同等に扱われています。
本のつくり方ひとつとっても、時代の反映なしにはつくれないことを、この二冊の本は表しています。


おもちゃの本を見ていると、おもちゃの魅力だけでなく、子どもの遊びの豊かさ、おもちゃをつくる人々の息吹、つくられた当時の世相などなど、いろいろなものが読み取れ、興味が尽きることがありません。
それでもまだとても簡単なこと、例えば今、お手玉が世界にどのくらい分布しているのか、どんな素材のお手玉を使っているのかというようなことは、はっきりとは知らないので、また、おもちゃの本を見かけたら買ってしまいそうです。
もっとも、世界中からお手玉の消える日が、あっというまに来そうですが。






2 件のコメント:

hiyoco さんのコメント...

「鉛の兵隊」で昔読んだ童話が脳裏をかすめました。でも調べたらアンデルセンの「錫の兵隊」でした。子供の時にモヤモヤしたマイナスイメージの童話をピックアップしてみたら、「雪の女王」「白鳥の王子」「錫の兵隊」とどれもアンデルセンでした(苦笑)。

さんのコメント...

hiyocoさん
先日本の整理をしていたら、古い『アンデルセン童話』の文庫本が出てきました。小さいころ読んだ童話とは、原作からはまた違う印象を受けたのですが、それも忘却の彼方です(笑)。でも断片的にしろ、アンデルセン、グリム、イソップ童話はもう私たちの血肉になっている感じがします。
私が忘れられないのは本当のお姫様の話です。お姫様かどうか試すためにエンドウ豆を一粒置いた上に、ふっかふかの布団を何枚も重ねて置いて寝かせて、次の朝、「よく眠れましたか」と訊いたら、「背中に何かかたいものが当たってよく寝られませんでした」と言ったので本当のお姫さまだったという話です。何でもない時に思い出して笑ってしまいます。いったい、何を言いたかったんだろう?わかりません。
三年前にデンマークに行ったとき、友人イエンスのお母さんのお墓が、家から歩いて行ける墓地にあり、アンデルセンのお墓も同じ墓地にあったので見ました。でも人魚姫の像は遠くから観光客が群がっているのと、船からちらっとは見ましたが見には行きませんでした。デンマーク最大の観光源のようでしたが。
私の母の弟が、小さいころ木片でたくさんの兵隊人形をつくって遊んでいた話を母から聞き、あるはずだと何度も家探しもしましたが出てきませんでした。兵隊さんと言えば鉛の兵隊とその木片の兵隊を思い出します。