先日、この春大学を卒業して左官見習をしているOさんが、何の経験も知識もないのに漆喰を塗っている私に、救いの手を差し伸べに来てくれました。
こて板を持っていなかったので、まず、こて板をつくるところから始めました。
二年前に、ネットを参考にしながら、こて板をつくったことがありました。しかし、できたこて板は大きすぎて、重くて持っていられず、持ち手が裏に出っ張っているので置いて使うこともできず、邪魔になってすぐに放棄しました。
そのあとは、ただの板きれを壁の前に置いて、下地モルタルや漆喰を乗せるだけ、そこからちびちびと材料をこてですくい上げて、ちびちびち塗っていました。時間がかかり、
「左官仕事って嫌だなぁ」
と、完全な後ろ向き。何かしら理由をつけては、壁塗りそのものから逃げていました。
こて板に材料を少量乗せ、こてですくい上げて何度か落として、こて板の上で練り直したりします。しかも材料をすくうとき、こてを動かすのではなくて、こて板の方を動かすのです。
これまで、マスキングテープさえ、貼らずにやっていました。
すでに塗ったように見えるところは、ラスカット(下地)のつなぎ目を布で補強したところ |
壁はまず左の辺から塗ります。材料を、端に沿ってざっと壁の下地に乗せ、下からそれを全体に伸ばすように上の端まで力を込めて押し上げ、次に上から均すように軽くこてを下まで持ってくると、あら不思議、きれいで平らな塗り跡が出現しました。次は上の辺、そして右の辺、それだけ決めたら中を塗るのです。
教えていただいた方法でやると、きれいなだけでなく、ずっと早く塗れます。こてさばきが理にかなっているのです。
これまで、こてを持ち替えることは考えず、右を塗るときなど、手の方を無理やり曲げていました。
しかし、こてを手の中でくるっと回して、反対にむけて持ってもよかったのです。
目からうろこでした。
いやはや、塗ってさえあればいいと思っていたけれど、全然違います。また、下塗りと中塗りは、あまり時間をおかないで塗ることも知りました。
左は、教えていただいた日に二度塗りしましたが、右は下塗りして早数か月、中塗りするには乾燥しすぎました。
何も知らないでやっているというのは恐ろしいことでした。
6 件のコメント:
こんな華奢なサンダルを履いている女性が左官見習いとは驚きです!
指導アリとナシじゃ全然違いますねー。左官仕事は難しそうです。
左官、私も体験したのですが思いのほか難しい作業でした。泥を掬う職人さんを見ているととても手早くやってますが、私にとっては掬うことがまず第一関門でした・笑。(竹の糸巻きの件ですが、北海道の方から詳細を得たので投稿記事にコメント入れました。参考になるとよいですが,,,)
hiyocoさん
見習いでまだ現場(文化財など)では塗らせてもらえないそうですが、若干22歳とは言え、着替えと履物くらい持ってきて欲しいです(笑)。ジャージとTシャツは私のものです(爆)。
腕は確かだったけれど、若いっていろいろ気がつかないのかなぁ。毎週でも手伝いに来たいと言っていますが、まず私が下塗りと中塗りを済ませて、いざ漆喰を塗るときにお願いしたいと思っています。
と言っても私、左官だけでなく、大工草刈いろいろやっているので、9月ごろまでにできるかなぁ...。
hattoさん
体験とは、教えてもらったということですか?
私も自分で塗るはめになるなら、母屋を塗ってくれた左官屋さんの手さばきなど見ておくべきでしたが、何せ当時は大工仕事に忙しく(今でも同じですが、笑)、じっくり眺める余裕もありませんでした。
漆喰はやはり、土壁に塗るのが一番弾力もあっていいそうです。このあたり、竹小舞を組んで土壁にしている人も多くいますし、瓦も達磨窯で焼いたのを使っている人もいますが、竹小舞の壁とガラス窓の組み合わせとか、手焼きの瓦とルーフィングの組み合わせなどというのがどうもしっくりこなくて、まあ、下地はラスカットでいいかという感じです。
2年前に名古屋市内で職人フェスタがあったのです。その折に「左官」を体験できるブースがあったので、迷わず入門。不器用な私に気のよい職人さんが2人かかりで教えてくださったのですが、壁塗りには相当な年月がかかりそうです。塗ったのは漆喰ではなく土壁だったと思います。(体験だったので、竹で編んだ地ではなくて木の板に)
hattoさん
いい経験をなさいましたね。
壁塗りを習うのは楽しかったです。あとは、修行を積むのみですね(笑)。
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