2019年4月22日月曜日

お皿あれこれ

骨董市で、一度も買ったことはないけれど、目の保養のためにいつものぞく店があります。江戸、幕末、明治などの出来のいい染付が並んでいます。
染付だけでなく赤や緑の色を差したものなどもかわいらしく、目利きの店主が選りすぐった焼きものたちに、そこだけ違う空気が流れていると感じるときもあります。
見事なお皿や豆皿を観て、手に取ってわくわくしますが、律儀に一枚一枚張られた値札を見ると、しゅんとしてしまいます。
先日は、私のように見るだけの客では商売にならないのか、この店に似つかわしくないものも、一角に並んでいました。もっともそれは目の端に入れただけだったので、今訊かれると、焼きものではなかったということだけ覚えていて、何だったかも忘れてしまいましたが。

さてその日、水屋さんの店には、幕末のなます皿が2種類、5枚ずつ重ねてありました。
一つの方の、一番上のお皿に「240」と書いたシールが貼ってあります。染付はひところよりずっと安くなっているもののまさか、240円はあり得ない値段です。
私の行く骨董市では、値段をつけることが奨励されていますが、誰もがつけているわけではなく、水屋さんが値札をつけているのは、これまで見たことがありません。
「こんな値札がついているけれど、これでいいの?」
水屋さんが飛んできます。
「一昨日買ったばかりで、そのまま持ってきちゃったよ。それは、前の持ち主が全部に貼っていた番号。いくらなんでも2400円じゃ売れないよねぇ」
「2400円じゃないよ、値札は240だよ」
「うわぁぁ」
水屋さんが慌てて、古風なシールをはがします。
そうか、一枚2400円では売れないんだ。私はその2種類のうち、よくある模様の方の染付を、1970年代に買って持っています。安ければ買い足してもとも思っていましたが、あっさり諦めました。

ほかの店も、一通り見ます。
馴染みのない店に、ちょっと面白い模様の印判皿がありました。


直径は13センチ、このくらいのお皿はたくさん持っているのに、まだ収納する場所が見つかるかどうか、自分の水屋を思い浮かべます。小さいので何とかなるでしょう。
「1枚500円でいいよ」
500円はちょっと高いかとも思いましたが、珍しい模様です。3枚だけ買いました。この手のお皿は端数でも、ほかの模様のと一緒に使ってもしっくり馴染みます。
13センチのお皿は、取り皿には小さすぎ、醤油皿には大きすぎるのですが、和菓子などにはよく似合います。

真ん中の模様を見ると、太陽と木立にも見えますが、たぶん、菊の花でしょう。


縁の模様は、菊の葉が五弁の花びらをつくっているので、葉でありながら花びらにもなり、その葉と葉の隙間も、なにかもの言いたげです。
これではまるで、「ルビンの壺」(トリックアート)じゃないですか。


さて、トリックアートにはこんなのもあります。
どちらが見えますか?










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