2022年5月27日金曜日

舟、舟、舟


以前、アイヌの刳り抜き舟のチプについて書いたことがありました。
目につくところに置いてあるので、毎日のようにアイヌのチプを見ていますが、他にも舟のおもちゃっていろいろあるもんだなぁと思い、ちょっとまとめてみました。


 中国の仙人たちの乗った


インドのセルロイドでつくった樟脳の舟
樟脳(ニトロセルロース)を材料としてつくったセルロイドの舟に樟脳をくっつけて走る舟とは、面白い組み合わせです。


土佐の鯨舟
黒潮が激しく岩にぶつかる土佐の室戸岬は、日本の捕鯨発祥の地として知られ、寛永のころから鯨捕りがはじまりました。
おもちゃの鯨舟は、土佐の漁師たちが出漁の合間に手すさびに木片を刻んで手づくりしたものからはじまったとされています。当時の舟をかたどっていて、舳先が反りあがった形に刳り抜いてあり、子どもが遊びやすいよう、車をつけています。
舟べりの菊花模様散らしの色柄は、捕鯨任務の区別や等級を表したものと言われています。



和歌山県勝浦の大漁舟と蒸気船です。


広島県尾道の田面は、柄杓の材料にする薄板でつくった屋形船で、紅白の色紙を貼って、幔幕(まんまく)に見立て、車をつけています。昔、尾道から米を積みだした千石船をかたどって、柄杓の製造業者がつくりました。


島根県出雲のジョーキ

それにしても、中国の八仙を乗せた舟以外、おもちゃといえど舟が土でつくられていないのがおもしろいところです。泥舟と言うとカチカチ山を思い出してしまいますが、日本の郷土玩具にはどれも車がついていることからも、ジョーキ以外の舟も元々はもう少し大きくて、子どもが引いて歩いて遊ぶものなので、軽くて丈夫な木でつくられたのだと思われます。

日本玩具博物館のホームページを見ると、もっといろいろなおもちゃの船を見ることができます。

追記:

鯨舟の昔の絵を載せました。



一隻の鯨舟に、10人くらい乗っているように見えます。

ついでに、蒸気船(上から5番目の写真)も調べてみました。
蒸気船のおもちゃは真ん中にあるのがえんとつとすると、両側の赤くて太い柱がマストでしょうか?


とすると、本物はこんな船だったと思われます。
これは、長崎市の旧香港上海銀行長崎支店記念館にある、高砂丸の模型です。高砂丸は、三菱商会が上海航路に就航させた蒸気船で、日本の会社による、最初の海外定期航路でした。









2 件のコメント:

hiyoco さんのコメント...

どんなサイズの鯨かわかりませんが、あんな巨大な生き物を不安定な船に乗って捕えようなんて、どうして思いついたんでしょうね(笑)。

さんのコメント...

hiyocoさん
大きいと言えば大きい、小さいと言えば小さい船です。昔の絵を載せておきますね。