1ヵ月ほど前、近藤由巳さんの遺作展がこんこんギャラリーで開かれたおり、 膨大な量で遺されていた草木染の羊毛の一部を会場で売っていただき、多くの方たちの手にわたって近藤さんを偲ぶよすがとなったのですが、
「あれっ、あんなに袋詰めしたのに」
と思われるほどたくさんの羊毛がまだ残っています。
それをみんなで糸にして、順次綴れ織りのタペストリーをつくり、よくできたらこんこんギャラリーで売っていただいて、近藤さんの愛猫クリちゃんの餌代の足しにでもしてもらおうと、私たち最後の生徒たちは、枠をつくるところからはじめました。
綴れ織りのタペストリーとはこんなものです。
大きな織り機は持ち運ぶことができず、月に2度集まるだけではその進捗状況もたかが知れていますが、枠だったら手軽に家に持って帰れて、ちょっとだけ時間があるときにも織り進めることができます。
枠は、油絵12号用の木枠を買って組み立て、これに経糸(たていと)を張る釘を打ちました。
木枠には木目があるので、小さい釘はまっすぐに打てませんが、まぁ大勢に影響はありません。
打った釘に麻糸を引っかけて、経糸とします。
綴れ織りは、緯糸(よこいと)を短い距離で行き来させるので、指でくぐらせるだけでもいいのですが、一応「綾」を取ります。綾を取るとは、経糸1本おきに紐や棒を2本互い違いに通しておくこと、綾を取らないと経糸の並び順がごちゃごちゃになってしまいます。
この場合は経糸は短いのでごちゃごちゃにはならないのですが、刀杼(とうひ、またはとうじょ)を「綾」に差し込んでおいて、経糸を1本おきに上げると、緯糸が通しやすくなります。つまり刀杼が綜絖(そうこう)の役割をします。
緯糸を通すときは、刀杼を立てて、糸と糸の間に隙間をつくります。
ところで、このとき下になっている経糸を上に来させるために、もう1本刀杼を差し込んでおくことはできません。経糸が身動きが取れなくなって、開かなくなるからです。
そこで、このとき刀杼の下になっている経糸には、木に糸を引っかけ、経糸1本おきにもゆとりを持たせて糸を引っかけて、「糸綜絖」をつくります。
刀杼の下になっている経糸を上にしたいときは、刀杼をできるだけ遠ざけておき、下になっている経糸が上にくるまで糸綜絖を引っ張り上げて、できた隙間に別の刀杼(この場合、物差しで代用)を差し込みます。
そしてこの刀杼(ものさし)を立てると、さっきとは反対の経糸が1本おきに上になります。
奥に挿してある刀杼は織り終わるまで抜かないで1段おきに使いますが、糸綜絖で持ち上げたときに挿した刀杼はそのつど抜いて、そのつど挿しなおします。
織りはじめは厚紙をはさんで緯糸をまっすぐにし、数段は麻糸で織って経糸の間隔を整えたりするのですが、ちょっと経糸が太すぎました。もう一度緯糸の麻糸を細いものにして、経糸が見えないようにしてみるつもりです。
綴れ織りは経糸が完全に隠れてしまい、緯糸だけで見せる平織りなのです。
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