2024年12月11日水曜日

拝啓 Oさん

拝啓 

天国(あるいは地獄)に行ったOさん、そちらから見える地球の景色はいかがですか? 
Oさんは生前、何も語らなかったけれどモサド(イスラエルの情報機関)の情報員でしたよね。あんなに親しく付き合っていたのに、私が初めてパレスチナに行って帰って間もなくから、行ったことも知らせてなかったのに、私がパレスチナに行ったことを聞きつけ、私への態度が一変しました。
私をつかまえて、誰かがOさんの情報を知りたがっていなかったか、私が誰かに頼まれてこっそりOさんの写真を撮らなかったかなどなど、訳の分からないことを根掘り葉掘り聞きだそうとして、挙句に私をシャットアウト。豹変の理由がなにかと考えるうち、Oさんはモサドの情報員だったのかと考えるようになりました。まさか、日本人の中にもモサドがいたなんて、想像もしていませんでした。
あれ以来、一度もお会いしないうちにOさんは旅立たれてしまいました。モサドの情報員になったのは、お金のためだったのですか? 
Oさんは当時大病をされていて、年の離れたお連れ合いは外国の方、一人息子さんはまだ幼かったですね。ご自分の死後のお連れ合いと息子さんの生計が心配だったのですか?

最近シリアでは、反政府勢力が実権を握り、バッシャール・アル=アサド元大統領はロシアに亡命しました。その混乱に乗じて、イスラエルはゴラン高原の非武装地帯に兵力を送り、シリアに侵入してヘルモン山を手に入れてしまいました。


ヘルモン山は標高2813メートル、ヘルモン山からはレバノンのベイルートもシリアのダマスカスも攻撃できることが取りざたされていますが、それだけではありません、イスラエルは水源としてどうしてもヘルモン山が欲しかったのです。というのも、国土の多くが砂漠のイスラエルでは、全土の水をヘルモン山からの雪解け水に頼っているからです。


イスラエルは1967年にシリアからゴラン高原を強奪、1981年に併合しました。それは、ゴラン高原がまさに水瓶だったからです。
Oさんはそのことを、どう考えていらっしゃいましたか?
イスラエルはパレスチナ領土への入植地建設をやめないどころかどこからも入植地が見えない場所はないほど建設を続けていますが、ガザとヨルダン川西岸は、あの地域では地下水が豊富な場所だからです。


天国から眺めると、イスラエルはどう見えますか? 
イスラエルでは男性が2年、女性が3年の徴兵義務がありますが、彼らは兵役につくとき、「パレスチナ人を人間とは思うな」と刷り込まれます。
子どもやお年寄りが普通に生活しているところに、銃を構えたイスラエル兵の巡回車が来ると、子どもたちの顔が見る見る険しい表情に変わっていくところを、何度も見ました。当時でさえ、人間として、銃を構えて村に押し入ることが許されるのかと思っていましたが、その当時の嫌がらせは、今のガザへの攻撃を思えばかわいいものでした。

Oさん、最近韓国では奇妙な事件が起こりました。尹錫悦大統領が戒厳令を出したのですが、どたばたの末、戒厳令に従って動いた組織の長が次々と逮捕される事態になっています。いずれ、指揮した大統領に内乱罪が適用されるだろうとのこと、内乱罪が確定すれば、死刑か無期懲役になります。
印象的だったのは、41年も戒厳令がなかった間に、韓国では軍人は、人に銃を向ける存在から人を守る存在になってしまったと語っていたことです。

世界中の軍人がそんな存在になって欲しいものですね。

Oさん、地球は混沌としています。だからこそ、今日も楽しく元気に生きたいと思っています。





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