2025年6月2日月曜日
火薬入れ
骨董市で水屋さん(私だけの呼び名。その昔水屋を売ってもらったから)が火薬入れを持っていました。マタギの方が紙のこよりで編んで、ご自分で使っていらっしゃったものだそうです。
底はスズタケで編んでいますが、スズタケは途中までで、その先はもっと細い素材を経材(たてざい)にして編んでいます。
紙のこよりを経材にするのは頼りないだろうから、細い竹ひご、もしかしたら針金などを使っているのかもしれません。
途中では経材を減らして絞ってひょうたん形に編み、完成後に漆を塗って仕上げています。
固くて軽いもので、ちょっとでこぼこしていて、いかにも手づくりらしいところも素敵です。
もう一つの、手づくりの火薬入れです。
上下に分けた木片の内側を刳り抜き、あとで上下を接着して、上の小さい口からだけ火薬を出し入れをするようにつくってあります。
皮の小袋は鉄砲の弾入れ、真鍮の板は帯とかベルトに差し込むものですが、竹でつくった小さな器は、何に使ったものでしょう?
「火薬を計った計量カップじゃなかったのかな」
と、水屋さん。
「なるほど!」
底は、彫りやすいように貫通させておいて後から別木を埋めて閉め、紐は箱に穴を開けて通すなど、随所に工夫のある火薬入れでした。
日本で火薬入れを見たのは初めてでしたが、ビルマの火薬入れなら持っています。
日本の火薬入れに比べると大きなもので、この曲がったところは水牛の角か、太い蔓をくり抜いたものか、それにしては紐を通しているところの突起は何だろう? 木を刳り抜くなら、なぜ曲がっているんだろう? 疑問の多い火薬入れで、いまだに材料がよくわかっていません。
もう一つ持っていますが、ほぼ似た形、両方に同じような編んだものがついているのですが、以前UPしたときは弾入れと書いています。正しいかどうかは疑問です。
また、太い針金は曲げてあると書いていましたが、この部分は既製品のバネで、それを細い針金で丹念に綴って丸く仕上げています。特にラタンの部分とのつなぎの部分は、丁寧に編んであります。
固い金属を使うなんてたいへんと思っていましたが、こう見ると、既成のバネが手元にあったなら、ラタンでこの形に編むより簡単だったのかもしれません。
これが弾入れかどうか定かではありませんが、弾入れだったとしたら残りが何発あるかわかりやすい容器と言えます。
さて、このフィリピンのルソン島北部の籠は、鉄砲の弾入れかもしれないと過去に書いていましたが、弾ではなく火薬入れなのかもしれないと覗いてみたら、中は黒くなっていたので、火薬入れだった可能性大です。
綾にしっかりと組んであるので、隙間から火薬が漏れたりということもなさそうです。
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