2010年7月5日月曜日

吹きガラスの器




日曜日に、もと同僚Mさんのお連れ合い、浜口義則さんのガラス展を見に、秩父に行ってきました。
浜口さんは、毎年一回、必ず7月初旬に、西武秩父駅近くの木亭という、古民家を移築したカフェで、もう15年続けて、展示会を開いています。
ここ八郷に来てから秩父は遠く、なかなか行けませんが、今年は行こうと決めていました。

私は5年ぶりくらい、夫は15年ぶりくらいでしたが、夫が驚いたのは、作品が安いということ。
聞けば、15年前、秩父に工房を構えて、ガラスを吹きはじめたころから、まったく値上げし てないとのことでした。

この15年、材料のガラスは値上がりし、ガラスを溶かすための壷も値上がりしました。しかも、ガラスを溶かす壷は、後継者がいなくて、いつなくなるのか、今は壷屋さんの言い値で買っているんだけれど、最大の不安要素だそうです。
そして、ガス代の値上げが、もっとも苦しいところです。ガラスは一度溶かしたら、二ヶ月ほど窯の火を落とさず、昼夜、1300℃に保ち続けます。一回の窯焚きで、ガス代は10万円を越えるそうですが、窯は、年に四回焚きます。

そんなわけで、たくさんつくって、たくさん売らなければ利益が出ませんが、一昨年のリーマン・ショックの影響が徐々にあらわれ、今年の初めごろから、全国のお店を通しての注文が激減しているそうです。
こんな状況では、怖くてとても値上げはできない、と浜口さんは言います。
「ものづくりで食べていくことが、とても難しくなった。本気で転職しようかと考えたこともありました」。

確かに、100円ショップのものだけでも暮らせる(本当?)世の中ですから、吹きガラス屋さんだけではなく、陶芸家や木工作家など、ものづくりの人々をとりまく状況は、だんだん厳しくなっています。

今後、リーマン・ショックが解決されてよくなるどころか、他の国でも次々と綻びが出て、ますます全体が厳しくなっていきそうな、そんな世界情勢とみるのは、私だけではないでしょう。




さて、これは、銀箔の帯を巻いてからガラスを吹くと、銀がぱぁっと散って、模様になるという手法でつくられている鉢です。銀箔をきれいに散らすのは難しいとか、「私にはできないの」と、手伝っているMさんが言っていました。5000円




上から見ると、一ヶ所、銀がない線ができていますが、それがまた素敵です。




夫がミルク入れとして欲しがったポットです。つまんだのか、つついたのか、水玉模様があります。持つところがへこんでいて、とても持ちやすいポットです。2000円




一輪挿し。他の浜口さんのグラスと同じように、底は木型にはめて吹いて、三角形に成形してあります。1500円。




花入れ。
当たり前ですが、浜口さんはまっすぐで薄いガラスも吹けます。
ヨーロッパの古いグラスのような、逆円錐形に足がついた、端正な花入れと、これと、どっちにしようか迷いましたが、夫の勧めで、ぽってり、ゆがんだ方にしました。2500円。

我が家のグラス類の、ほとんどは浜口さんのつくったものです。太いの、細いの、小さいの、大きいの、いろいろあり、だいたい、なんでも浜口さんのグラスだけで間に合います。

ガラス展のお客は、私たちがいたあいだも、ひっきりなしでした。遠くからいらっしゃる人も多く、お年よりも若いカップルも、女性も男性もいて、みんなたくさん買っていて、それはそれで、とっても嬉しいことでした。

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