セルロイドのおもちゃには、華やかさと安っぽさが入り混じった、独特のかわいらしさがあります。
いったいどんな町工場でつくられていたのでしょう。大人たちがまじめな顔で、セルロイドのおもちゃをつくっていた工場を見てみたかった気がします。
この鳥笛は、ぷーぷーという、大きな音が出ます。
鉛筆につけられていて、鉛筆には、「遊覧おみやげ」と刻印があります。どこを遊覧したのでしょう?
特定の観光地ではなく、「遊覧おみやげ」とだけ記しておけば、全国どこでも使えて、よかったのかもしれません。
買ってもらった子どもが嬉しくて、学校に持っていったら、「見せて、見せて」と、手から手へまわっているうちに壊れてしまいそうなはかなさです。
「500円」
と、骨董屋のさわださん、
「えっ、高っかい!」
「これは、仕入れ値もそのくらいしたから」
さわださんは、ふっかけたりする人ではありません。
大枚、じゃない一枚をはたきました。
こちらも鳥の笛です。
風車がついていて、それを回すために風を送る管と、笛の二つがついています。笛が壊れてしまっているからと、以前、さわださんからいただいたものです。
音は出ませんが、羽は勢いよくまわります。
鳥は、まるで金華糖のようです。
まだ、輸送手段も整っていないころ、安いのにかさばって壊れやすいセルロイドが、日本中に運ばれて、決して豊かではなかった、たくさんの子どもたちを喜ばせたと思うと、なんだか楽しくなります。
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