2012年2月23日木曜日

ヘンゼルとグレーテル



磁器でできた、ヘンゼルとグレーテルの人形です。掌に乗るほど小さなものです。
フィリピンのマニラの骨董屋で出逢いました。
もう、30年以上前のことです。


お菓子の家の前で、魔法使いのおばあさんが、ヘンゼルとグレーテルを誘っています。

 

そして、入ろうかどうしようか迷っている、ヘンゼルとグレーテル。
いったいどこの国でつくられた人形でしょうか。手彩色が素敵です。

磁器ですから、フィリピン製ではないと思います。
グリム童話と言えばドイツですが、ドイツの人形でしょうか?



ヘンゼルとグレーテルのお話は、長く続いた飢饉で食べられなくなった母親が、口減らしに子供たちを捨てたお話です。

穀物が周期的に凶作になっていた、ヨーロッパの慢性的な飢饉を救ったのは、新大陸(アメリカ)から、16世紀末にヨーロッパにもたらされたジャガイモでした。
はじめのうちは、「聖書にない作物だから」と食べるのを拒んでいた人々も、 やがてジャガイモで命をつないでいくようになりました。
17世紀半ばには広く普及したジャガイモは、やがて、ヨーロッパ中でなくてはならない食糧になりました。
18世紀後半にアイルランドを旅した人の記録に、アイルランドでは、一年のうち十ヶ月はジャガイモとミルクを食べ、残りの二ヶ月はジャガイモと塩を食べているというのが残っています。

お菓子の家は、子供ならだれでも、
「本当にあったらなぁ」
と思うものです。
この人形のお菓子の屋根は、まるでチョコレートのかかったビスケットのように見えます。でも、ジャガイモのないヘンゼルとグレーテルの時代には、チョコレートもありませんでした。

チョコレートも新大陸から紹介されたもので、17世紀にはヨーロッパの王侯貴族の間でぜいたく品として好まれてるようになりましたが、それは板チョコではなく、飲み物のココアでした。


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