密閉してなくても、アフリカの木彫りには、白いカビが生えるものがあります。
しかも何年も、何十年も、湿気の季節を迎えるたびに、カビが生え続けるものも、よくあります。
そんなときは洗って、よく拭いて、乾かします。
その昔、訪ねるのが大好きだったお店で、ネットにホームページは持っていますが、ネット販売はしていません。メールで問い合わせたら、三つばかり在庫があると、写真を送ってくれました。
一枚の写真に三つ一緒に写ったコーヒーテーブルの中から選んだのは、脚ががたつかないと説明されていたものでした。コーヒーテーブルは、一本の木から彫りだして薄く仕上げてあり、脚は四本なので、長く使っているうちに、ほとんどは面がねじれて、激しくがたつきます。
届いてみたら、なぁんだ、四本足のうち二本を新しく切ってあって、足の裏が真っ白なものでした。
がたつく脚を切るのだったら、いつでも自分でできます。「がたつかない」ではなく、「足が切ってある」と説明して欲しかったと、ちょっとがっかりしたものでした。
しばらくしたら、このコーヒーテーブルにも盛大にカビが生えました。
ごしごし洗って、拭くと、表面の塗装が剥げたのか艶がなくなり、色合いがすっかり違ってしまいました。しかも色がまだらになっています。
よく見たら、縁が欠けていて、巧妙に修理した跡がありました。
私は、完品より修理したものの方が好きなくらいです。
でも、修理したことを隠す修理は不快です。長い間親しんできたあのお店の騙されたと、すごく悔しい気持ちがしました。
さて、今年もカビの生える季節が来て、くだんのコーヒーテーブルにもカビが生えました。
洗って、拭いて、まだらの修理跡を眺めます。
それにしても、色と材質に目をつぶれば、よく修理できています。カビが生えなくて、石鹸をつけてごしごし洗わなかったら、いつまでも気がつかなかったことでしょう。
エチオピアの人がこんな修理をするはずはありません。傷をわからないように修理する伝統があるというヨーロッパで修理されたものでしょうか?
これは別の、エチオピアのボウルの修理跡です。
欠けた破片をつなぎ合わせていますが、修理したとわかる修理で、それは全然気になりません。
むしろ、景色として、楽しむこともできます。
そんなコーヒーテーブルですが、時間が経ったからか、私の腹立ちが収まってきました。
比較の問題ですが、欠けたままになっているよりずっとましです。
色も、艶々光らず、褪せたような色でまだらのまま、楽しめるようになりました。
上は使い込まれていないエチオピアのボウル、下はよく使い込まれたものです。
使い込まれなかったものは、色も褪せず、縁も角張ったまま、カビも生えませんが、それはそれでちょっと面白みに欠けます。
そんな、面白みの欠けるものは、うちで、裏の模様がすり減るまで使い込みたいと思っていますが、なかなか、ただ使っているだけですり減らすのは、たいへんです。
それだけ長く使われてきたものだと思うと、いとおしさも増します。
4 件のコメント:
春さん有難うございます。
「、、、、消えた仕事図鑑」
私の記憶と比較する楽しみに購入します。
お助け3号に、、、、
昭ちゃん
良かったですね!絶対楽しめますよ。高潔な仕事だけでなく、しょうもない仕事も満載ですから。で、昭ちゃんが知らない仕事があったら、また教えてくださいね。でもドックかんかん虫まで知っているんだから、知らない仕事はないかもしれません(笑)。
春さん「泣かせ」にも数種類ありますが、
やはり戦前が面白いです。
夜店で売る商品はほとんど手品のように鮮やかですからね。
昭ちゃん
確かに昭ちゃんのお父上がおっしゃるように、芸を楽しむものですね。大人でも鮮やかと思えるほどだから、子どもなら魔法を見ているようだったでしょう。
ふうてんの寅さんじゃないけど、「それを詐欺罪で訴えちゃぁおしめえよ」。
もっとも私はふうてんの寅さんの映画は大嫌いです(笑)。自分の周りに彼がいたら絶対に受け入れないのに映画だと大喜びする、その日本人の心根が嫌です。
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