先日、我が家の展示室でこの輪を見た人から、
「これは何ですか?」
と訊かれたのですが、織物道具の部品らしいとしか答えようがありませんでした。
ところがそんなことがあってすぐに、骨董市で同じものを見かけました。
籠に入っていて、「2個で100円」と張り紙してあったので、2個一緒に売るためにまとめたのかと、深く考えもせず買って来たのですが、家で見ると、昨日今日結わえたものではなさそう、結わえた糸は、擦り切れそうになっていました。
二個まとめて使っていたのでしょう。
以前見つけたものには、「十二」、「二十五」と書いてありましたが、今度見たものは、「二十」を二つ結わえたものと、「二十」と「十二」を結わえたものでした。
以前からある「十二」と新たに買って来た「十二」は、同じ大きさです。
試しに重さを計ってみたら、「二十」+「二十」=154グラム、「二十」+「十二」=120グラム、「十二」=44グラム、「二十五」=97グラムでした。
一匁は、3.75グラムですから換算すると、それぞれ150グラム、120グラム、45グラム、93.75グラムになるはず、誤差があまりありません。
とくに、「二十」+「十二」はぴったり合っています。
よく見ると、「二十」+「十二」は、磁器をわざと欠いたような跡がありました。
それほどまでして正確を期した錘って、いったい何に使ったのでしょう?
私の中で、この錘はますます「謎」になってしまいました。
11 件のコメント:
こんな感じで使うようですよ。
この陶製の錘を使って織っている様子の写真などがあるといいのですが・・・・。
知り合いに機織り(京都丹後の)業を営んでいる方がいるのでちょっと尋ねてみますね。
http://www2.g-com.ne.jp/~scala/wakko/note/w6_omori.htm
取り急ぎ、ご回答いただきましたので添付しますね。
「この陶器は”しずわ”と言う。漢字ではどう書くか正確には分らないが”静輪”という説もある。しずわの傷というか欠けは、本来はあってはならない傷です。弱い糸を切る事に繋がり、不良品です。」とのことです。
そして、前のコメントで私が貼ったサイトの使い方は少し間違っているそうです。京都丹後のその方が動画を撮ってくださったのでご参考までに。追記はいましばらくお待ちくださいね...。
https://www.youtube.com/watch?v=VdY_eZoKSBU&feature=youtu.be
hattoさん
興味深い写真や動画ありがとうございました。
最初の画像は整経したあと、何等かの具合で経糸がたるんだ場合、そこに目方をかけて引っ張る力を加えようとするもので、場当たり的な解決方法ですが納得できます。
もう一つは、何度見ても今一つよく理解できていないのですが、もしかしたら経糸を織り機にかける前、整経の過程で糸が浮かないように留めているものかと理解しました。
と言っても動画の方、糸の本数に比べて輪の数は少ないし、ただくぐらせるだけだったら目方は関係ないしと、???が少し減って、???が少し増えています(笑)。
動画のような使い方をしたとしても、輪を欠いていたのは外側だったので糸が引っかからないかと思ったりもします。
さらなる情報を待っています(^^♪本当にありがとう。織り機と言っても手機と力織機があるので、そのどちらかに使われたかも、興味津々です。
動画は、八丁撚糸と言って、1mに3,000回程、生糸に撚りを掛けます。地下水を汲み上げ、糊を使って撚るのです。水撚りとも言い、こういう撚り方をしないと、生糸がちぎれてしまいます。強撚と呼ばれ、丹後ちりめんにシボと呼ばれる凹凸、人工的シワを作り、風合いをと肌触りを良くし、生地に強度を付ける為に行います。動画は、縦糸に対し、横糸を作っている動画です。ボビンに最初から最後まで同じ張力で巻き付ける為に”しずわ”をくぐらせます。傷のある”しずわ”は不良品です。通すだけなら問題がなさそうですが、一回転させて、摩擦でテンションを上げて使う事もあります。その場合は、糸は、直ぐに切れてしまいます。しずわの数字は、重さを表す数字です。二十、二十五などと数字は、匁を表します。
宇野勝さま
初めまして。コメントありがとうございました。動画を見させていただいたのですが、何をしているのかわからず、とんちんかんなことを言って失礼しました。
コメントいただいて、これっきりにしたいと思われているかもしれませんが(笑)、いろいろ質問があります。
まだ、正しく認識していると思えないのですが、動画は、糸の一定のところに撚りをかけ、巻き取って次のところに撚りをかけて、さらに巻き取ってという作業をしていると考えていいのでしょうか?
また、縮緬のしぼは強くかけた撚りによることは知っていましたが、動力を導入する以前には、縮緬はなかったということでしょうか?それとも、手作業だけでも、1メートルに3000回という撚りががかけられたのでしょうか?
骨董市で「しずわ」を見かけるくらいですから、「しずわ」はすでにお役目を果たしたものでしょうか、それとも今も現役で働いているのもあるのでしょうか?
縮緬のしぼは、日本固有のものと思われますが、大正時代は大きくて、昭和になって小さくなっていますが(化繊の縮緬は別)どんな背景があるのでしょうか?
何かのおりに教えていただけたら、とっても嬉しいです(^^♪
メッセージしようかと思ったら・・・。
宇野さんがコメント入れてくれたましたね。
春さん。・・・ということだそうです。笑
宇野さん、現在も丹後で現役の機織りをしておられます。
(余談ですが、他にカズラで籠を編んだり、ロケットストーブを作ってる方です。)
生糸を木管(今は、プラスチック)に手振り状態で巻き付け、それを回転させると自動的に糸に撚りが掛かります。強撚にするには回転数を上げ、甘撚りにするには、回転数を落とします。横糸は、右撚り、左撚りに作ってバランスを取ります。天平時代は、撚りの技術は有りませんでしたから、合糸した糸を使った織物でした。江戸時代になれば、動力源は、水車でした。そこからは、撚糸という技術が生まれ、色々な風合いの織物と柄が生まれました。そういう事で、撚糸は、連続した動きの中で生産されます。丹後ちりめんは、最盛期は、年間950万反が丹後で織られましたが、今は、需要が激減して、年間の生産量は、35万反まで減っております。つまり、骨董市に流れるほど在庫が余り出しているのです。ですが、今でも現役に使われています。最後にしぼについてですが、明治、大正では、水車が動力で、生産力もありませんでしたし、撚りを強くする時間的余裕、また、それほどの品質の要望もありませんでした。昭和に入ると、動力源は、電気です。生産能力と強撚の向上に繋がりました。ですので、細かい凹凸、シボが生まれたのです。
さすが春さんは交流関係が広いから
答えも早いですね、 驚きました。
hattoさん
hattoさんのネットワークで、いろいろなことが氷解して嬉しかったです。ありがとうございました。織り機の周辺機器というより、縮緬をつくるためのものだったのですね。勉強になりました。
動画を見ていたら、しばらくしたらロケットストーブも勝手に出てきたので見ました(^^♪このあたり、結構作って使っている人がいて馴染みがあります。毎年お餅搗きをさせていただくおうちでもロケットストーブにしてから、効率が上がっています。
宇野勝さん
縮緬の起源は江戸時代にさかのぼったのですね。国立博物館でいろいろな小袖を見たことがありましたが、なにせ昔のこと、布が縮緬になっていたかどうか、まったく覚えていませんでした。
水車で撚っていたのが電気になったというお話、アマノジャクのようですが、私は祖母の羽織を仕立て直した大きなしぼのベストが大好きで、愛用しています。
私の住んでいる八郷はおもしろいところですから、今でも水車で杉の葉から線香をつくっていらっしゃる方もいますし、イベントのたびに着物を着ている若い方も多いのですが、残念ながら縮緬は少ないです。ちょっとフォーマルすぎる感じがするからでしょうか。それにしても、1mに3,000回の撚りとは、緯糸一段に1,000回の割合、すごい技術にただただ感動してしまいます。
いろいろ、ありがとうございました。
昭ちゃん
想像したのと全然違う使い方でした。磁器でほぼ正確な目方の錘をつくる技術、それもすごいと思いました。磁器は焼く前には大きさも目方も違いますからね。
日本の産業は、分業というか関連産業というか、たくさんの分野の仕事が集まって一つのことをやっています。だから、あの「しずわ」を専門的につくっていた会社もあったのですね。「しずわ」だけでなく、碍子などもつくっていたかどうか、いずれにしても、今では需要もないだろうし、それだけでは生計が成り立たないでしょう。藍で記している文字が、スタンプでなくて手描きなのにも時代を感じます。もっとも、見たところ3種類しかなかったから、あえて匁を記さなくても勘でわかると思うけれど(笑)、どれにも律儀に記してあります。
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