松の木の箱、スウェーデンのものです。
「用」だけのためにつくられた箱なので、そっけないことこの上なしです。
この箱は、牛乳のサンプル検査箱で、十九世紀の終わりから二十世紀の初めにつくられて、使われたものです。
革の持ち手は、たぶん、箱を重ねても使えるよう、一方を固定させ、一方は細いバンドをくぐらせて、伸ばしたり、畳んだりできるようにつくってあったもののようです。ところが、革がボロボロになって、持ち手を留めていた細いバンドが切れてしまったため、今では留めてなかった方も固定して、釘が打ってあります。
留め金の受け金具が、左右で違っています。
どちらが元の姿でしょう?左は頭の丸いねじ釘、右は小さなヒートンです。
手間いらずにできていて、蓋を閉めるとき、閉まる直前に留め金にちょっと手を掛け、閉まったところで手を放すと、すとんと自動的に留め金がかかります。
中には仕切りがしてあって、ビンを全部で16本収めることができます。
持ち運ぶという用途のため、軽くしようとどの板も薄くできていますが、一世紀前の当時、どんな道具で、板を薄く削ったのでしょうか?
ビンは型に入れてつくったもので、型を取り外したときの線が、両脇に残っています。
そして、弓がたにA-B.SEPARATORと、下の方には、STOCKHOLMと陽刻があります。
スウェーデンで使われたものなのに、どうして英語で書かれているのでしょう?
牛乳を分離させて検査するとは、いったいどんな検査だったのか、想像もつきません。
二、三のビンは、ミルクをよく洗わなかったのか、白っぽさが残っています。
牛乳のサンプルは、この箱をいくつも積み重ねて、馬車で検査場に運ばれたのでしょうか?
一つ一つのビンに、砂や微小貝を入れたら楽しいだろうと思っていましたが、入れないままで月日が過ぎています。
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