2019年2月16日土曜日

バウレの織りもの道具

ブログを書いていて、こうだと思ったことが間違えていて、恥じ入ることがあります。
今回も、アフリカの織物道具、杼(ひ)についてもっと知りたいとネットをのぞいていて、過去の間違いを発見しました。


バウレの筬(おさ)について書いたとき、ぶら下げるところが見つからないと書いていましたが、なんと上下が反対でした。
考えもせず、はなから太い方を握ると信じ込んでいました。

「ギャラリーかんかん」の小川弘さんの写真より

正しい位置は、この向きだったのです。
確かにこれだと、力を入れなくても重みで筬がよく動き、緯糸がよく締まります。

同上、バウレの筬

ということは、太い方はとっても手触りがよかったけれど、織るとき握るのは、細い木の方でした。

同上

同じく、ドゴン(マリ)の筬です。

同上

そして、モシ(ブルギナファッソ)の筬、どれも下が太くなっています。

どちらかと言えば、は上下同じ形のもの(上下のないもの)、上の方が太いものしか見たことがなかったので、目からうろこでした。

バウレの滑車

ところで、筬の使い方はわかりましたが、バウレの綜絖(そうこう)を吊るす滑車の上部に、滑車自体をぶら下げるところがない謎は、まだ解けないままです。
この滑車の場合、象の顎の下に紐を通すでしょうか?そんなことをするとは思えないし、そこがすり減ってもいません。

小川弘さんの写真より。マリの機織り

この写真はじつに惜しいです!
綜絖を吊る滑車の下半分が見えています。しかし、上はどうやって吊るしてあるのか、ちょうど写真が切れています。
もっとも、「ギャラリーかんかん」に行って、小川さんにお尋ねすればわかるだろうことは判明しました。

アジアの手仕事~生活と祈り~より、タイ北部

ちなみに、東南アジアの綜絖をぶら下げる滑車は、このように使います。


さて、バウレの杼です。


経糸(たていと)のあいだを通すなら、もっと厚みが薄くてもよいと思われますがけっこうな厚み、横にして通すのでしょうか?

ギャラリーかんかんの小川弘さんの写真より

フルベ(別名フラニ。ブルギナファッソなど広域に住んでいる)の杼は、バウレの杼とほぼ同じ形、これはイラストですが、緯糸を出す穴の上がどうしてすり減っているのか、ちょっと気になります。

同上

ヨルバ(ナイジェリア)の杼も、バウレの杼とほぼ同じ形です。

同上

ところが、アシャンティ(ガーナ)の杼は、ずいぶん変わった形です。
杼は英語でシャトル、広幅の布を織るなら、杼を投げ入れると軽やかに長い距離を滑らないと困りますが、ケンテなど幅の狭い織物を織るなら、これで十分用が足りたのでしょう。

杼に関しては、『謎の杼』、『寝かせて使う杼』、『カンボジアの杼』、『杼 織物の道具』など、過去の記事があります。







5 件のコメント:

karat さんのコメント...

織りの機構をよく理解しているわけではありませんが、タイの綜絖をつるす滑車を見て、さすが!とうれしくなりました。特に必要はないはずなのに、あのような素敵な木彫りの装飾をささっとほどこすとは…、いつもの遊び心というか気持ちの余裕というか…いいですね。

さんのコメント...

karatさん
そうなんです。カンボジアとかランナータイ(北タイ)の人たちは、木のものは農具でもなんでも素敵に彫って装飾しています。
もともと夫が機織り機や糸巻きなどをつくり妻が織ったもの、妻に喜んでもらえるよう、お隣さんよりは素敵に見えるよう、一生懸命頑張ったと思えば、ほほえましいですね。
毎日のことだから、そんな小さな装飾にずいぶん慰められたと思います。

ちなみに古い朝鮮では結婚の時新郎が新婦に木彫りの鴨を贈りましたが、これはどちらかと言えばへたくそな人の方が多い気がします(笑)。心があっても小さいころから木彫りに親しんでいなかったら、なかなかうまくは行かなかったのでしょうね。

hiyoco さんのコメント...

バウレの滑車が気になってちょっと見てみましたが、滑車が工芸品となってしまっていて、なかなか使い方が出てきませんでした。それだけ彫刻が素晴らしいということですね。
http://brooklynmuseum.tumblr.com/post/100001155787/my-absolute-favorite-part-about-the-museums-tripで実際に機織りで使われている様子が写っていますが、その滑車には紐を通す穴があいているので、春さんの滑車の疑問の解決にはなりません。でも筬の向きはわかりやすいです(笑)。

さんのコメント...

hiyocoさん
ありがとう。どうやって使われたかわかりました。とってもいいですね。
もしかしたら我が家にあるのは、私のように喜ぶ人がいるからと、ただのお土産用に作られたものの可能性があります。本物はこの写真のように穴が開いているものだったのでしょう。彼らも「彫ってさえあれば喜ぶし」という感覚で滑車の形にしたのかもしれません。
教えていただいた写真の二枚目、ただの糸巻きみたいなのを使っていますが、これで事足りますね。これも感動的です(笑)。
いつか本物を目にすることがあるかもしれません(^^♪

さんのコメント...

hiyocoさん
私も見つけました。https://www.azalai-japon.com/bois/meuble/2306-03.html
ということは、私が持っているのだけがお土産ものなんだ!
埃を払って見てみましたが、やっぱり吊るすところがありませんでした(笑)。