2021年8月2日月曜日

カンボジアの生菓子

カンボジア、タイ、ラオスなどのお菓子には、つくった日に売り切る「生菓子」があります。
生菓子はつくった人が、天秤棒で担いだり、自転車に乗せたり、頭に乗せたりして売り歩くので、出逢うのはまったくの偶然。また出逢いたいと思いながら、二度と出逢わなかったお菓子がたくさんあります。
路上で、お菓子屋さんを見つけたら、もうどんなお菓子であろうと買ってみるしかありません。ほぼ期待は裏切られず、至福の時を持つことができます。

タイには、生菓子といえど市場や夜市で売られている、定番のものがあります。生菓子でありながら、どこでも似た味のものを食べることができます。
ところが、カンボジアでは、めったに出逢うことのできないお菓子が多すぎるのです。


そんなカンボジアで、どこでも出逢える定番のお菓子がこれです。
どこででも手に入るし安いので、つくり方なんか考えたことがありませんでしたが、バナナの葉は青々としているので、包んでから蒸していません。中には、ココナツ味のシャリシャリとしたゼリー状のお菓子が入っていて、いくつでも食べられる美味しさです。
肉料理を出すレストランのデザートなどに出されると、カンボジア人は「何だこれか」という顔をしますが、それでも手が伸びるお菓子、必ずジャスミンの花を散らしています。


バナナを芯にして、ココナツと砂糖で味をつけたもち米で包み、それを蒸したり焼いたりしたお菓子。これも、出逢う頻度は多いものです。
こちらは小腹を満たすもの、たくさんは食べられません。


バナナのフリッターはどの市場にも1軒や2軒はある定番のお菓子、使っている油やころもの味で微妙に違いますが、熱々も覚めても美味しいもの、新聞紙を三角にした袋に入れてくれます。


ほのかに甘い、もち米を蒸したお菓子、葉の香りが移って、美味しいものです。

出逢ったお菓子の写真をもっと撮っておけばよかった、一期一会だったたくさんのお菓子の写真はありません。
ある日、カンボジア人たちと車に乗って、その日は洪水だったかで、別のルートで村に行ったことがありました。混みあっていた市場の前を過ぎたとき、同乗していたソリが、
「あっ、ちょっと車を停めて!」
と言って、車を飛び出していきました。
「珍しいお菓子を売っていたから」
と、彼がにこにこと差し出したお菓子の美味しかったこと。食べたことのない、繊細な味のお菓子でした。
その後、何度もその市場の前を通りましたが、ソリに、
「お菓子屋さんは今日もいないの?」
と訊いてみたりもしましたが、
「いない」
との返事。そのお菓子屋に二度と出逢うことはありませんでした。ソリが気づいたのは、お菓子をつくる道具が目に入ったからとのことでした。


プノンペンはメコン川とその支流のサップ川の交わるところにあります。
夕方になると、岸部は夕涼みに来た人たちで大賑わい、行商の人たちも行きかいます。そんなところで、のんびりと川面を見つめているとき、遠くに大きな籠を頭に乗せた人が歩いてくる女性が見えたら、近づいてくるのが待ち遠しくて、わくわくします。籠に入っているのは、直径が20センチもある大きなかき餅です。
ほのかに甘い、子どものころに食べたのと同じ味のかき餅、日本で乾燥したかき餅を売っていてもよさそうなものなのに、自家製のかき餅を食べて以来、プノンペンで食べるまで、かき餅を食べたことはありませんでした。
日本のかき餅は、もち米に砂糖を入れて搗き、四角い棒状に形づくり、固くなる前に薄く薄く、2ミリ厚さくらいに切って乾かします。それを、火鉢の中の五徳の上に置いた網の上で返しながらあぶると、倍くらいの大きさに膨らみます。口に入れるとほろほろと溶け、子どものころは冬の嬉しいおやつでした。
カンボジアのかき餅は丸い形、しかも大きいので、どうやってつくるのかわかりませんが、焼いてすぐならサクサク食べられるのが、時間が経つと歯切れが悪くなるのも、日本のかき餅と同じです。








 

4 件のコメント:

karat さんのコメント...

おはようございます。
いつだったか、タイのルークチュップというお菓子の写真を見て、とても可愛いくて美味しそうで、一度出会いたいものだと思っていました。でも食べるのが惜しくなってしまうかも。タイは行ったことが無いし、これからもきっと行かないと思いますが(^^;)。
バリでもかごに担いで売っている、バナナの葉にくるんだ甘いお団子のようなお菓子があり,おいしかったのですが、そういえば写真て撮ってなかったなーorz.

そのソリさんの買ってきたお菓子どんなだったか、気になります(^^)。

hiyoco さんのコメント...

バナナのフリッター、美味しいですよね。セブ島の街角で何度か食べました。
かき餅は父の田舎に行くと出てきて大好物でした。
川の写真。よく見たらめっちゃ高い枝に人が(笑)!しかもこの木、川の中に生えてとても不思議です。

さんのコメント...

karatさん
ルークチュップはいわゆる練り切りです。熱帯ですから、餡はモヤシの材料の緑豆でつくっています。日本のいわゆる鶏卵そうめんのようなお菓子もあります。
水羊羹のようなお菓子も、緑色はヨモギでなくほかの植物を使ったりと、似ているような、ココナツミルク味なので似てないような、味です。
ぜひ、食べものだけのためにも、コロナが終わったら行って見てください。お菓子も楽しめるけれど、ご飯も楽しめます。今では日本でもおなじみのガパオ、カオマンカイ、パッタイなども、万人の口に合わせる味ではなく、本場の味が楽しめるはずです。でも、ホテルとか、高級レストランでは、だいぶ味も違ってきているようですが(笑)。
ソリの買ってきたお菓子は、淡雪寒の上になにかがぽろぽろとたっぷりかかっているようなお菓子だったと記憶しています。

さんのコメント...

hiyocoさん
バナナのフリッターは、どこでも期待を裏切らない味ですね。
かき餅は、八郷の農産物直売所で、ナマコ型に形づくったのを3㎜くらいにスライスしたのはいつでも売っていますが、揚げせんべい用です。これを焼いても食べられないことはないのですが、甘いかき餅とは全然違う味、焼くと歯切れもよくない上、すぐ固くなってしまいます。
メコン川は、雨季と乾季では水位が8mも違います。コンクリート(いつもはベンチになっている)の川側に、30度くらいの傾斜で堤防があって(ちょっと見えていますが)、それがほぼ水で隠れている、一番水位の高い季節の写真です。
川沿いの木はこうやって水に浸かってしまいますが、短期間なので枯れたりしません。乾季は林で、雨季には池という場所もあります。そういうところで産卵する魚もいたりして、人間も含めて生物たちはみんなうまく自然を生かして暮らしています。