2021年8月4日水曜日

まがいものだった、ラオスの籠


毎朝見上げている寝室の棚に、ラオスの籠が乗っています。
古い籠は一通りUPしたんじゃないかな、この籠もきっとUPしたはずと、「八郷の日々 ラオスの籠」と検索しても、全然ヒットしませんでした。
念のため、ラベルの「籠」を、新しいものから順に一からたどると、2010年1月にUPしていたのが見つかりました。もしかしたら、古い記事は、10年を過ぎると出てこないようになっているのかもしれません。

この籠はもともと、1990年に、タイ農村でタイ、ラオス、カンボジアで複合経営農業など面白い農業をやっている人たちを集めて、「農民会議」を開くための出席者(発表者)と連絡をとるために、ラオスに初めて行ったとき、田舎の市場で見かけたものでした。
1週間ほどだったか10日ほどだったか、ラオス滞在中、どこかで売っていないかと気を配っていた(必死で探していた?)のですが、市場でも籠屋でも、この籠に出逢うことはありませんでした。
1990年当時、ラオスにヴィエンチャンなど大きな町中以外舗装道路はなく、運転手つきで借りた車にはエアコンはなく、遠出したり田舎を駆け回ったりすると、赤い土ぼこりを被って、顔や髪の毛が真っ赤になったものでした。

数年後、ラオスから帰国した同僚のIさんの手に、似た籠がありました。
もちろん、他人のものを欲しがるわけにいかず、事務所に置いてあるのを毎日見て暮らす日々、Iさんはその籠をどうしたかったのか、以来ずっと置きっぱなしで、たぶん私だけの目を引いていました。

そのとき、市場で見た籠の写真、あるはずですが、どうやって探したものか、とりあえず、身近に置いてある、10年ほど前につくった、手仕事などを撮った写真だけを集めたアルバムを見てみることにしました。すると、まず出てこないだろうと思っていたのに、なんとその中にその籠の写真がありました。


これです。
思った以上によくできていて美しい。しかも、今まで同じと思っていたのに、私の手に入れた籠とは違っていました。


こちらが、私の持っている籠です。
ちょっとひしゃげた形をしていることはさておいて、持ち手が底に当てた木から直接伸びている形になっています。胴を這っている、棒状のラタンに平たく裂いたラタンを巻きつけた山形のでっぱりは、少しは籠本体の補強になっているかもしれないけれど、ところどころ留めつけてあって、単なる飾りになっています。
ところが、市場で見た籠は、山形に渡したラタンが、構造そのものになっています。だから、美しさが違ったのです。
というわけで、私の持っている籠は、はっきり言って、「まがいもの」でした。
Iさんが事務所に置いておいたので、毎日見ていた籠も、「まがいもの」だったと思います。
手に入れてから20年以上経って見つけた、違いでした。



 

4 件のコメント:

rei さんのコメント...

凄い籠(本物)ですね。美しい。春さんが取り憑かれる?のも無理ありません。いきなりこの形が生み出されたとはとても思えまず、何段階かの形を経て完成されたものの様に思えます。

フナコレタロ さんのコメント...

比較してものを見ることの重要さにおそれいります。側面に渡した山型の部材の長さと掛け方によって、”まがいもの”を見破る、その眼力にあっぱれです!

さんのコメント...

reiさん
本当に隙のない形をしています。
確かに試行錯誤の上でたどり着いた形なのでしょう。中国系ラオ人がつくったものと思われますが、今でもつくれる人がいるのかなぁ?
残っているとしても、まがい物だけではないかと、心配してしまいます(笑)。

さんのコメント...

フナコレタロさん
いえいえ、今まで同じものを手に入れたと喜んでいただけなのに、写真が出てきて、それを見て、「何だ一緒じゃないじゃないか」とびっくりしただけですから、まったくたいしたことはないのです(笑)。
でも、面白いですね。籠でも何でも、いま一つしっくり来ないものが多々あります。では、それがどうなればしっくりくるのか、よくわからなくても、比較することで少しずつ見えてくるということですよね。
やっぱり、よいものをたくさん見なくっちゃ(笑)。