2022年3月21日月曜日

骨董市風景


これは射的の的かしら?
おもちゃ骨董のさわださんの店先に置いてあった土人形です。松本かつぢ(1904-1986年)のクルミちゃんで一世を風靡した、下がり眉毛、脚の太い女の子の立体版というところでしょうか。


クルミちゃんは1938年に連載がはじまった『くるくるクルミちゃん』の主人公で、連載は戦争をはさんで35年続きました。
「それ、割れたのをくっつけてあるから、100円!」
確かに、幼い少女の頭に線が見えるし、


年長の少女の肩が壊れています。でも、上手にくっつけてあります。
まず、これを手に入れたあと、会場を一巡りです。
まことさんの店では、民具を箱から出して筵の上に並べている最中でした。鉄の道具、木の道具など、並べるそばから、売れていっています。木でできた、素朴で武骨な大きな椅子も、一巡して来たら売れてしまっていました。

水屋さんの店に、ビー玉くらいの大きさの鉄の玉が5個、小さな紙箱に入れておいてありました。丸いものが大好きなので、何なのかと訊いてみました。
「火縄銃の玉」
「ひやぁぁ!」
「一つ一つ叩いてつくったんだね。珍しいから買ってみたんだけど」
市場での買値が5個で1万円だったそうです。高!
水屋さんが買ってみたかった気持ちはわからないわけでもないけれど、そんな高い鉄玉を買う人がいるかしら?『堺鉄砲研究会』の澤田平さんくらいのものじゃないかしら。
お客さんを見つけるのは難しそうです。

先回の骨董市で、動くおもちゃを各種置いていた骨董屋さんがいました。
その日も店を出していたのでのぞいてみると、置いてあるおもちゃの中では一番好きだった、セルロイドの猫がちょっと離れた鞠を追いかけている、ゼンマイで巻くおもちゃは、並んでいませんでした。
「セルロイドの猫は売れちゃったんですか?」
「あっ、あれ?宇都宮の骨董市で売れちゃった。若い女の子が来て、「これください」って。1万円だったけど、あっさり買っちゃった」
「へぇぇっ!」
骨董屋さんは、Made in occupied Japanの、身体がブリキで頭がセルロイドの毬猫、全部セルロイドでできていて、複雑な動きをするロディオ人形、尻尾に蜂がとまるのを追っ払おうとしている、腹を見せて寝ている犬の人形など、解説も交えながら、次々と動かして見せてくれました。寝ている犬は、尻尾の蜂を追い払おうと尻尾を動かすだけでなく、いびきをかき、いびきに連れてお腹が出たり入ったりして、ときに薄目を開けるという、凝ったものでした。
輸出して外貨を稼ぐために、昔のおもちゃ工場はいろいろな工夫をしたものだと、改めて感心してしまいました。

さて、再びさわださんの店の前を通りかかると、
「もう一つ人形があるんだけど」
とさわださん。
「子守り人形、手のところが壊れているから100円」
と、一つの箱の中から小さな人形を引っ張り出しました。


「あれぇ、首が取れている。仕方ないなぁ、ただでいいよ」
というわけで、子守り人形はただでいただいてきて、家で赤ちゃんの首をくっつけました。


かわいいねぇ。けなげだねぇ。


今回も、いろいろと楽しんだ骨董市でした。





2 件のコメント:

rei さんのコメント...

骨董市楽しそうですね。落日荘の住人になった人形たち可愛い。

杉並郷土資料館分館が平成25年に行った企画展示の図録「時代が見えてくる!オキュパイドジャパンのおもちゃたち」が手元に有ったので、見てみました。載ってました!セルロイドのBALL CAT。手から出ている細い棒の先にボールが付いています。その他のひっくり返った犬などは載っていませんでしたが、どれも楽しくて見入ってしまいました。
昭和初期に流行ったと言う「肉弾三銃士」、実在した3人の兵士が爆弾持って敵陣に突っ込む姿の人形ですが、これは頂けません。

いまどきさんも人形の収集に何度か訪れたとおっしゃる新井薬師の骨董市が来月から再開されます。骨董市のトラウマは、この市での出来事に依るのですが、気に入って購入しようと思った皿の値段が一桁間違っていたのです。よくある事と店主に慰められましたが、今でもその時の恥ずかしさがこみ上げて来ます。

さんのコメント...

reiさん
セルロイドの猫、可愛いでしょう(^^♪
犬は画像を見つけました(https://www.worthpoint.com/worthopedia/vintage-japanese-mechanical-wind-1748771420)。
骨董市を楽しんでいますが、直近で3回行って、合計100円しか使っていないなんて、客の内には入らないですね(笑)。
新井薬師の骨董市は有名ですね。行ったことはありませんが。富岡八幡宮も、不幸なことがありましたが骨董市は続けているようです。東郷神社はなくなりましたね。
私も値段を間違えたことがありましたよ。そんな時は笑う以外ないです(笑)。