2011年7月11日月曜日

四角い籠





四角い籠には、懐かしさがあります。小さいころ、魚屋さんも、お菓子屋さんも、乾物屋さんも、みんな大きな四角い籠を自転車の荷台につけて、物売りに来ました。
物売りでない人も、たいてい自転車の後ろには四角い籠をつけていました。

四角い籠は「自転車籠」とも言いますが、小さいころ育った倉敷地方では「ばかん籠」と言っていました。ネットで試しに「ばかん籠」と検索してみたら出てきたのでびっくり、うなぎを捕るとき使う籠との説明があり、もちろん岡山県のものでした。




自転車籠よりちょっと深さのある四角い籠は、背負って使う行商の籠です。東京で電車通学していた当時、毎日のように見かけたのが、この籠とともに電車に乗り込んでくる、通称「千葉のおばさん」たちでした。
大きな籠の上には、箱をいくつも乗せているので、一人では背負えないほどの高さ、おばさんたちは助けあって背負わせてあげていました。
たいていは、唐草模様の大きな風呂敷で、籠ごと包んであったので、中になにが入っているかはわかりませんでしたが、野菜や海産物だったのでしょう。

この骨董市で見つけた籠は、そんな行商には小さすぎるかなと思える小ぶりの籠です。




専門に加工してくれるお店があったのか、買った人が自分でつけたのか、手間隙かかっただろう、漁網のように編んだ、網蓋がついています。




とてもたいせつに使われていたようです。




底には、竹が磨り減らないように、足がついています。

我が家では、織物用の麻糸をしまう場所の一つとして使っています。




この籠は、左右に持ち手の穴が開いていないし、自転車籠とはちょっと雰囲気が違います。
底の方でちょっと膨らんでいます。




おまけに木の底がついています。東南アジアではよくあるスタイルですが、日本の籠で木の底がついた籠は珍しいでしょうか?




そして、長い紐がついています。背負子に比べれば、あまり機能的には思えません。
籠の底の、長い線に沿って見えている竹は、木の足を釘で止めるための補強材です。

最近は、さすがに置く場所が無くなって、骨董市で見かけても、大きい籠の前は、たいてい素通りするようになってしまいました。




おかげさまでトラは復活し、いつものようにまわりをうろうろしています。




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