2011年7月16日土曜日
インドの鍛冶仕事 その三
鍛冶の盛んな国インドの刃物は、かつてはビルマを通って、タイ北部にまで売られていたようでした。
以前も書きましたが、そのためにタイの村々には珍しく鍛冶屋さんが発達していません。もっともタイの村々の多くが、比較的その成り立ちが若い(開拓村)ということもありますが。
以前アップしたことがある、ビンロウを切る鋏です。
ビンロウヤシの実は、プルーの葉、石灰、刻んだタバコなどとともに噛む嗜好品です。
ピンポン玉ほどの、ビンロウの生の実を切ることもあれば、薄切りにして乾燥させた実を刻むこともあります。
ビンロウの実を噛むのは、アジアの広い一帯の文化で、カンボジアの古式の結婚式では、ビンロウの木に登って実を採ってくることも、結婚式の儀礼の一部として組み込まれています。
フンセン首相は、一週間かかる古式の結婚式をあげましたが、庭にビンロウの木がなかったので、わざわざ結婚式のために高いビンロウジュを探させ、植えさせたそうです。
ただでさえ、ひょろっと細くて背の高いビンロウの木なので、植えたばかりの木が、結婚式の時倒れなかったのかどうか、気になるところです。
鋏の柄は、一点で自在に開きます。
掌の上に鋏を開いておき、ビンロウを乗せ、鋏とカバーとで挟むようにして切ります。
小さい方の鋏には、彫った模様や、透かした模様がほどこされています。
模様もなく、さっぱりした大きい方の鋏の握りの端は、ギボウシのように丸く仕上げてあります。
このギボウシは、へらや穴あきしゃもじの柄の先端にもついていますが、ついていると一気に鉄が和らいできます。
包丁も、以前アップしたことがありました。
地面に置いて、野菜などを向こうへと押しつけて切る包丁です。
じゃがいもの皮を剥いたり、サイコロに切ったりするのの、速いこと、おもしろいこと。ずっと見ていても見飽きません。
この包丁は折りたたみ式になっています。市場にでも持っていけるようにつくってあるのでしょうか。
開くときに、つまみに指をかけても痛くないように、鉄板がねじってあります。
そのせいだとも思えないのですが、包丁の刃もねじれています。
ねじれた刃をまっすぐに打ち直すのは、彼らの技術を持ってすれば朝飯前と思われます。だのに、ねじれはそのままにしておいて、刃をしまうための鞘を、わざわざちょっと歪めてつくってあります。
どうしてなのでしょう?
刃がねじれている方が、切った野菜がぴたっとくっつかない。
曲がってしまったのに、気づかなかった。
やっぱりわかりません。
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