2014年7月12日土曜日
俵編みの錘
俵を編むときの錘(おもり)です。
八本ありますが、二本ずつ組にして、これだけの数があれば俵が編めます。
この、三角柱のような形の錘を横になるようにぶら下げて俵を編むのは、秋田、福井、岐阜など広範囲に広がっていたようです。
もちろん、他の地域でも使われていたことでしょう。
丸太を輪切りにして、それを八つ割りにしてつくったのでしょうか。
カーブした面には、なんとなく木の皮をはいだ雰囲気が残っています。
この錘の中の二本だけ、二つの穴が開けられていました。
二つは、縦(縦気味の斜め)にもして使ったということでしょうか?
かつて、お米をつくっているところでは、どこでも俵を編みました。
俵も俵を編む台も、形はそう違わなかったと思われますが、俵を編む錘は一様ではなく、地方色のあるものだったようです。
錘は、大きくは、錘が縦になった形でぶら下がる縦型のものと、横にぶら下がる横型ものに分けられるかと思います。
アンギン編みと違って、俵の経糸(たていと、実際は縄)はたった四本ですから、横向きにしても、錘と錘がぶつかる心配はありません。
右の背の高いものは、上のと似た形ですが、穴を開けた位置からして、縦にぶら下がります。
ただ、俵は座って低い台で編むことが多いのですが、これでは長すぎて、巻いた縄を短めにしても錘が床につきやすく、機能的ではないように思えます。
もしかして腰掛けて編むような、高い台を使っていた地方もあったのでしょうか?
左のものは、糸巻きの形ですが、下の方に針金の輪がついています。そこから縄を出して使うとすれば、やはり縦型です。
これは、どこで使われていたものでしょうか。
私が幼い頃を過ごした岡山県倉敷市では、これに似た横型の錘を使っていました。
中心がもう少しくびれて、蝶の形というか、リボンの形になっていて、縄を通す穴はありませんでした。
これはインドネシアのすりこ木(と思われる)ですが、ちょうど、こんな形をしていたように記憶しています。
韓国の縦型の錘です。
ネットで調べた錘の中に、長野県のもので、これとよく似た形のものがありました。もしどちらも真似しなかったのに、形が似たとしたら、興味深いことです。
もっとも、韓国の仁寺洞(インサドン)の骨董屋のおやじさんは、李朝のものだと言っていて、そうだとしたら、ずいぶん前に使われていたものです。
真意のほどはわかりません。
これはスゲの籠を編むとき使うもので、俵用ではありませんがやはり錘です。
この轆轤で挽いた錘は、広く市販されていたのでしょうか。それとも、轆轤師さんが籠をつくるので、錘を手づくりしたのでしょうか。
ネットで俵用の錘を見た中には、この糸巻き型の溝のある円盤部分だけを切り取った、ヨーヨーのような形の錘もありました。
右はアンギンを編む錘です。
スゲの籠を編む錘は不明ですが、あとはすべて使い手が手づくりしたものです。
重い錘もあれば、軽い錘もあります。
編む台の上で、縄を交差させるので、縄が柔らかいとそう強く引っ張る必要がなかったのか、錘を使わないで、縄をまとめて垂らしておくだけで編んだ地域もあったようです。
錘としてなら、ただの木の枝でも使えます。
それなのに、いろいろな形につくられた錘。手仕事の道具、とくに自家用につくられた道具には、興味がつきません。
余談ですが、錘を縛っている縄が素敵です。
カラムシとかシナで綯ったものでしょうか。
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