その素材は、ちょっと挙げてみても、竹、ラタン、アケビ・マタタビなどの蔓、ヤナギなどのしなる枝、イタヤカエデ・トネリコなどの割材、白樺・クルミなどの樹皮、針葉樹・スゲなどの根、カヤなどのイネ科の草、アシ・スゲ・ガマ・イグサなど水辺の草、稲・麦などの藁、ヤシ・パンダナスなどの葉、ユッカ・麻などの繊維、皮革、獣毛、金属、そして合成素材など多彩です。
インドネシアの、おもにはバリ島(ほかにはロンボック島)でつくられる籠には、「アタ(もしくはアトゥ) 」を使ったものがありますが、アタとはいったい何でしょう?
アタはシダ科の植物で、栽培ができないので、自生しているものを採集して利用するそうです。
葉を取り、乾燥させた茎を四等分、八等分に裂いて使います。
我が家にも、アタでつくられた籠が大小、いろいろあります。
古いものは、20年、あるいはもっと古くから我が家にあるでしょうか。まるい籠、楕円の籠、四角い籠、木と綴り合わせた籠。蓋がついている籠、ついていない籠。大きい籠、小さい籠。
どれも美しい仕上がりで、使い勝手がいいので、薬入れ、鍵入れ、ペン立て、「制作中のもの」入れ、毛糸入れ、などなどとして働いてくれています。
アタは、籠に編み終えたら、数日間天日干しにします。よく乾いたらココナツの実を割ったものと木片を燃やした煙で燻し(いぶし)ます。
燻し加減にムラができないように、数時間おきに火加減を調整しながら、昼夜火を絶やさないようにして、三日間ほど燻し続けます。
すると、艶のある飴色に仕上がり、ほのかな香りがつき、防虫、防カビ効果も備わるのです。
それにしても、アタの籠の細工は、隅々まで美しく仕上げようと言う神経が行き届いています。
細部をおろそかにしない心意気が、格調のある姿をつくりだしています。
最も美しいアタの籠をつくる、バリ島東部、トゥガナン村の人々は、きっと長い間アタとともに暮して来て、アタのことを知りつくしているのでしょう。
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