2018年8月15日水曜日

計量カップ

 

スウェーデンの計量カップです。


銅板を円錐形に曲げて貼り合わせ、底と取っ手をつけて仕上げています。
注ぎ口のところに四角く切り込みが入っているのは、切り込みで高さを調節することによって、計量カップとしての正しい量を出そうとしたのだと思われます。


この計量カップはジンを計るのに使われたとか、毎年検査があってそれに適合した印らしきものが、1859年から始まって、1860、1861年、1862年、1863年、1864年まで、6年にわたって刻印されています。

18世紀末に、フランスではメートル法が制定されました。
1867年のパリ万国博覧会の際に、パリに集まった学者の団体が、メートル法によって単位を国際統一しようとする決議を行い、1875年には、メートル法を導入するため、各国が協力して努力するという主旨の、メートル条約が締結されました。



この計量カップは、そのメートル法以前の単位が使われています。
「K」とはどんな単位だったのかわかりませんが、一番大きい計量カップが2分の1Kと印されていて、1200ミリリットル入ります。
どの計量カップにも20KTなどと単位が刻印されていますが、実際に水を入れてみたら、20KTにちょうど500ml、以下10KTに225ml、5KTに130ml、2KTに50ml入りました。
「ん?」
全然計算が合いません。
2分の1K(1200ml)は50KTのようですから、20KTは480ml、以下240ml、120ml、60mlだったら私もすっきりするのですが、何度計りなおしても、そうはなりませんでした。
どうしてこれで6年にわたって検査に合格し続けたか、謎でした。


それはさておき、計量カップは銅板が厚くて、見た目よりずっしりした重さがあります。

約150年前には、銅板はどうやってつくられたのでしょうか?
注ぎ口は叩かれて薄くなっていますが、全体には銅板は厚く、カップの中をのぞいてみると、表面は平らではなくて、溶かした金属が流れて固まったように、でこぼこしています。平らな場所(石か?)に、溶かした銅を薄く流して、銅板をつくっていたのでしょうか?
その場合、もし、石を高温に焼いておかなかったら、流した銅は広がる前に冷えて固まり、期待した銅板はつくれなかったでしょう。
「どうやって銅板をつくったんだろうなぁ?」
いったい、どんな工房があって、どんな熟練の職人さんがいたのでしょうか?
心は19世紀半ばのスウェーデンに飛んで行きます。







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