北海道ののらさんから、2013年7月に昆布刈石で拾った、妖艶なバックギャモンの箱の写真が送られてきました。
妖艶とは聞いていたけれど、確かに妖しげです。左の絵は、女性がベリーダンスを踊っていて、後ろに座る男性は、写真でははっきり見えませんが、のらさんによると、水煙草を吸っています。また右の絵は、カウチにやはりベリーダンサーのような衣装の女性が座り、たぶん奴隷の男性が団扇で扇いでいます。ちょっと見には、襟などからミニスカートをはいた現代の女性に見えますが、それでは奴隷の男性と時代が合いません。
のらさんはお仕事の傍ら、野や浜を歩いて、鳥を見て、花を見て、漂着物を拾って自然を楽しむ「のらの会」という、子どもを含む万人向けの自然探索会を定期的にやっていらっしゃいます。
その下見に行ったとき、のらさん自身が左の部分を拾い、その後、参加者と一緒に「のらの会」で浜を歩いたとき、右の部分を参加していた子どもが見つけ、やがてその子がもういらないということで、のらさんの手元に来たものだそうです。
一つだけの時は、丁番がついているので扉かと思われましたが、二つになって箱と判明しました。それでも、のらさんは何の箱かわからなかったのですが、その後、漂着物学会の集まりに持っていき、ほかの人たちに見せて、バックギャモンの箱と判明したそうです。
この絵は箱の中側の絵で、蝶番のついている位置から、互い違いの方向を向いていたことがわかりました。
箱の外には建物が描かれていて、どちらもドーム屋根からモスクに見えます。
というわけで、オリエンタル(ヨーロッパから見た中東)な雰囲気が満載です。
のらさんはこの箱が、津軽海峡を通る大型貨物船かタンカーから捨てられたのではないかと想像しています。というのも、フジツボなどの付着物が全くついてなかったので、遠くから流れてきたものとは考えられなかったからです。
そして、これを見てバックギャモンの箱とわかった漂着物学会の方の博識にも、拍手です。
しかし、いったいどこの誰が、こんな絵を描いたのでしょう?
イスラム社会は伝統的には具象を許容していません。現代では絵描きさん(芸術家)もいますが、お土産物としてでも大っぴらに売っていたとは思われません。
秘かにつくって、秘かに楽しんでいたとしたら、どうして海峡に投げ捨てたのかなぁ、そんなことに思いをはせてしまいます。大きな船だったら、波にさらわれてしまったということは考えられません。
バックギャモンは二人で遊ぶゲームですから、一人でこっそり楽しむわけにはいかないし、こっそり隠し持つにはとても大きなものです。
敬虔なイスラム教徒の上司に見つかって、捨てさせられたのでしょうか?
さて、話はがらっと変わりますが、バックギャモンの入っていた箱に蓋をつけました。
蓋のない杉の箱は捨てて、何か蓋のある箱を見繕って入れ替えるつもりでしたが、長い間道ずれだったものを離すのは理不尽だと思い、つくってみました。
蓋は、斜めに切ったものを差し込むようになっています。
木目がきれいな「福ハ内」の空き箱の蓋を利用しました。
裏を表にしています。引っ掛ける爪のところが汚い仕上がりなのは、道具が不足しているせいにしましょう。
ボードをつくって、この箱が不要になる日は、多分来ませんね。
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