2024年3月17日日曜日

名古屋の猫抱きお福


名古屋土人形の猫抱きお福です。
お福さんの表情も、猫の表情も素晴らしい!


お福の型と猫の型を別々につくり組み合わせたとても丁寧なつくりです。


上の写真は、招き猫ミュージアムの土鈴の猫抱きお福を、フィギュアにしたものです。


フィギュアもちゃんと土鈴風につくってありますが、お福さんだけでなく猫も土鈴になっています。


名古屋人形には、土鈴と土鈴でない猫抱きお福が存在していたようです。



郷土玩具には、背中の彩色は省略したものも多い中、背後までしっかりと彩色され、土鈴でない方は着物に五つ紋がついています。


猫抱きおかめは、東京、今戸にもありました。
右後ろは吉田義和さん(いまどきさん)が型を起こしてつくられたものです。


磁器人形の猫抱き、磁器だけれど射的の的の猫抱き、焼き物の猫抱き、猫抱きにもいろいろありました。







 

2 件のコメント:

茶々丸 さんのコメント...

野田さんの最高作をご入手されましたね!
おめでとうございます☆

人形師に限らず、職人というものは、
壮年期へと年を重ねるほど味を増すように思いがちですが、
野田さんに関しては、
断然、戦前の若い頃の作品の方が、後年作よりも光っていますね。

戦前には趣味家の伊藤蝠堂・浜嶋静波・松岡香一路のご三家を始め、
錚々たるブレーンがプロデューサーとなって、若い野田さんを取り囲み
あれこれ口も出す代わりに、お金には糸目を付けず、珠玉の作品群が生み出されました。

敗戦後、趣味家など一人もいなくなり、特注品の受注も無くなり、
一般的な郷土玩具愛好家の時代となってからは、
その人たちに受ける路線へとシフトしていきました。
どの種類もどこか垢ぬけてキャラクター化され、自己模倣が繰り返されました。
戦後作のかわいい系の猫抱きお福でこそ、フィギュア向きなのかもしれません。

戦前の猫抱きお福は表情が細やかで、猫の描写も柔らかみがあり、体温まで感じられるようです。
現在は、名古屋をそこまで賞賛しない向きも多いのですが、それは戦前作にほとんど触れる機会がないからだと思います。

磁器人形、射的人形も厳選されていますね!
ところで、
戦前には「日本黒猫協会」とかいう黒猫玩具の愛好団体まであるほど、
「黒猫」の大きなブームがあったようです。
そのため、古い民芸人形を長年蒐めていると、妙に頻繁に黒猫作品が出てきます。
大正ロマン・昭和モダンの世相に不思議とマッチしたのでしょう。


さんのコメント...

茶々丸さん
猫抱きお福はとても雰囲気がいいと思っていたのですが、末吉さんの戦前作だったのですね。そのような背景は全く知らず、もしかしたら見たこともない末吉さんの先代の作かと思ったりしていました。
伊藤蝠堂、浜嶋静波、松岡香一路、どなたも知りませんでしたが、Wikiで見て、「玩具人」って何?って笑ってしまいました。私自身も他人から見れば「なんでも集める人間」ですが、こんなに人生をかけて玩具の収集に生きるって、やっぱり男じゃないとできないですね(笑)。
黒猫ブームは、竹久夢二や菱田春草の絵などとも関係しているのでしょうか?昔はセルロイド製品によく黒猫が描いてありました。
我が家の猫抱きはどれも偶然出逢ったものたちです。