2012年9月21日金曜日

手びねりセランゴール


なんとなく相性が悪いというか、他の地域ではそうでもないのに日本ではほとんど見かけないものがあります。錫合金のピューターもその一つでしょうか。日本のどこかのご家庭でピューターの食器を使っているのって、見たことがありません。アルミやステンレスはこんなに普及しているのに!

かくいう我が家にも、タイでにいたときにいただいたり、自分で買ったりしたピューターののマグカップがいくつかあったのに、あまり使わないままで、いつのまにか消えています。


錫生産国の一つマレーシアには、ロイアル・セランゴールという、ピューター製品の世界ブランドがあります。
そのセランゴールのフィギュアです。


骨董市でがんこさんの店に並んでいたので、すっとぼけた顔を見ていたら、
「セランゴールだよ。手びねりで、指紋ぺたぺただよ」
と、がんこさんが言うので、手に取ってみると、


なるほど、指紋の跡だらけでした。

同じものを量産するとなると、原型を粘土ではなく蜜蠟でつくったとしても、それをもとに型をつくって、その型を使ってつくらなくてはなりません。
手びねりのまま、土にくるんで  焼いて鋳込んだとしたら、たった一つできるだけです。
試作品か何かだったのでしょうか?


しかも、型でつくったセランゴールの四分の一ほどのお値段でした(がんこさんのお情けだけれど)。

それにしても、ピューターのフィギュアというのは、いい感じです。
ズシリと重いのに、まったりした、柔らかい手触り。つくった人ではないけれど、指紋をぺたぺたとつけたいような心地よさです。


家にいる鋳物の動物たちを、型でつくったものと手びねりのものに分けてみました。右が手びねり、左が型です。
手慣れた職人さんが多いインドやガーナでは、蜜蠟手びねりの方が簡単ですが、セランゴールのような会社組織の手びねりって、やっぱり珍しいのでしょうか?


もっとも、タイのアヘンの分銅の象の場合、「型でつくった後、合わせ目のバリも出るだろうに、こんなにつるつるにみがけるだろうか?」という疑問も残りますが、左の山羊を見ると背中にかすかに合わせ目らしいところが見えるので、やっぱり型だとは思います。

アヘンの分銅については、ほとんど知らないので、もう少し調べてみる必要があります。もしかしたらこれも、タイではなくビルマでつくられたものかもしれません。
アヘンの分銅の場合、鶏が一番有名なのですが、私的には鶏はあまり好きではありません。
一口にアヘンの分銅と言いますが、ビルマでは市場で野菜を売るにも、分銅として普通に使われていたそうです。


左のダヤンはアンチモンです。ピューターとアンチモン、なんだかお似合いです。

2 件のコメント:

はっと さんのコメント...

ワニさんの手前はアルマジロかなぁ?
数年前、母が篆刻の石を中国に仕入れにいった際、亀がいくつも入れ子の様になった(腹部分に亀が入っていく)
掌サイズの(金属製)小物を骨董市で買ってきました。一番小さな亀のお腹には何やら文字が刻されていました。一体、何に使うんだろう?とずっと考えていましたが春さんのこれを読んでひょっとしてオモリだったのかと思いました。

さんのコメント...

はっとさん
中国製の金属ですか。しかも亀がお腹に入っていくなんて、おもしろそうですね。
ガーナには金を量るための分銅がありましたが、天秤ばかりに分銅って、実際には量るのが結構大変。まあ、デジタルはかりに慣れる前は、みんな持っただけで重さがある程度わかり、ばたばたしなくても、きっちり天秤ばかりを使えていたのでしょう。