Kさんの家は、長良川のほとり、かつては材木と和紙の集積場として問屋が並んでいた、河原町の一角にあるので、やはりその一角にある十八楼という宿に泊まりました。
十八楼は、今は一部高層ビルになっていますが、150年の歴史を持つ古い宿です。
これが、昔の姿です。
十八楼内の温泉の露天風呂からは、長良川の流れがよく見えて、なかなか趣がありました。
日本各地にある昔の町並みが、面影をとどめたり、リノベイションされたりはしているものの、実際は「大道具」として舞台をつくっているだけで、土産物店以外には実体がなくて、「死に体」になっているのに比べると、河原町通りは、県庁所在地の中心にあるという土地の利か、生きていました。
ここで店を開いていた問屋さんたちは、鉄道ができてからは駅周辺に、高速道路ができてからはインターチェンジ周辺に仕事場を移したものの、河原町の家を住宅として、今も使っています。
また、見事な木を集めた素敵な銘木店が、今も健在でした。
十八楼にあった古地図、です。
真ん中あたりに十八楼があり、その奥に河原町が、長良川の支流(運河?)に沿って並んでいます。
そして、これが、昔倉庫として使っていた建物を一部活かして建てた、Kさん家族の家です。
幅は狭いのですが、奥行きは二十数メートルあり、中はとても広々していて、M夫人は、ここで漆教室を開いていらっしゃいます。
さて、次の日の朝、急遽、ぎふメディアコスモスにある図書館に、Yさんを訪ねることになりました。
ぎふメディアコスモス前には、開館前から待っている人もいて、二階にある図書館は壁のない空間。
室内で乳母車を押している人も多く、老若男女、思い思いに楽しんでいる姿が印象的でした。
司書が選んだ本を置いてあるだけでなく、市民が選んだ本を並べたコーナー、DVDが楽しめるコーナー、みんなでつくった分野別の「まちのたからものマップ」を張り出している、などなど、いろいろな試みがなされていました。
昨今、子どもの声がうるさいと保育園建設に反対したりする風潮のある中、「子どもの声は未来の声」として、子どもの声の聞こえる図書館にしているのも、素敵な試みでした。
ちなみに、この建物の設計者は伊藤豊雄さん、魅力的な空間を生み出していますが、建物の前の広場では、いましも高層の市庁舎建設の基礎工事が始まっていました。
目の前に高層建築を建てれば、このぎふメディアコスモスの雰囲気は、ずいぶん変わってしまうことでしょう。