2023年11月30日木曜日

稜線が見えない


かつて、山の稜線が見えていた居間からの眺め、すっかり木々に覆われて、冬に葉が落ちたときだけやっと、それも部分的に眺められる程度となりました。
右手には、私が切り払うまではクズに覆われて縮こまっていたケヤキが枝を伸ばし、植えたナンキンハゼも思いのほか伸びてしまい、夫に、
「あれは邪魔だから伐るぞ」
と言われています。
また、左手に植えたホオは、親子で2本、大きく育っています。
そして真ん中あたりに植えたソメイヨシノは、家よりずっと低いから問題ないと思っていたのに、夏は完全に視界を遮ってしまいます。


それに、今年はクズも絡んでいます。


写真の真ん中にまっすぐ伸びているのがクズ。


直径3センチを超えるほどの茎になってしまっていました。


クズや桜の枝を切っていたら、タマまもやってきました。


一番太いクズは切ったけれど、こちらはどうする?
篠竹ブッシュを切り開くか、ブッシュに伸びている桜の枝を切ってしまうしか方法がありません。


ここは、他人さまの土地ですが、20年にわたって草刈りをして、篠竹ブッシュが我が家まで伸びてこないようにしてきました。桜の木の下あたりには段差があり、斜面がきつくなります。そのあたりで毎年私とブッシュがせめぎあっていたのですが、この数年は負けてしまっています。
上の写真の真ん中あたり、緑色の見えるところから下が篠竹ブッシュです。ブッシュはゆうに2メートルを超える高さで、篠竹の上をクズがのたうち回り、コウゾの葉もまだ緑です。


2015年の写真を見ると、桜の木は小さいし、桜の木の下の急斜面のあたりもちゃんと草刈りしていました。
篠竹ブッシュも、今より低い!







 

2023年11月29日水曜日

干し芋


埼玉県のOさんの家でお芋掘りしていただいてきたサツマイモのベニハルカ、追熟させると甘くなるので、これまで手をつけていませんでしたが、いよいよ、干し芋をつくるときが来ました。


巨大なサツマイモが多く、蒸し器の下の段に入るものは少数です。


はじめは2段で、大きいものばかりになってからは1段で蒸しました。    
こんなとき、タイの蒸し器は便利です。サツマイモを蒸すとヤニが出て蒸し器が汚れますが、アルミの蒸し器は金束子でごしごし洗えるので心置きなく使えます。


サツマイモの大きさによって、弱火で1時間から1時間半、箸が楽に突き刺さるようになったら取り出して、少し冷まして薄切りにします。


それを天日に干します。


「今日は干し芋をつくるぞ!」
と決めて臨んだのですが、弱火で蒸すため時間がかかり、朝の8時半から3時過ぎまで火を止めることなく蒸しっぱなしで、作業を終えたのは4時でした。もっとも、つきっきりというわけではないので、蒸しながらほかことができましたが、一日がかりでした。


平たい籠は総動員、洗ってもそのまま使うのはためらわれた古い箕にはクッキングペーパーを敷いて使いました。これでは下から乾燥しないので、こまめに裏返さなくてはなりません。






 

2023年11月28日火曜日

10メートル?長すぎません?


この写真、10月に舞鶴に行った時の、東名高速道路の、駿河沼津サービスエリアのお手洗いの中の写真です。
「つまり防止のため、1度で流せる紙の量の限度は、10メートルです」
「えぇぇぇぇ!」
誰がトイレットペーパーを一度に10メートルも流すの?
日本語しか書いてないから日本人向けだよなと思いながら、私なら何メートルを限度にするかと考えました。せいぜい、3メートルでしょう。それでも長い?
どこのお手洗いもきれいになったおかげで、いよいよ、流されたトイレットペーパーの行きつく先のことなど考えもしない人が増えているのかもしれません。

先日はつながる図書館の映画会で、水洗便所を使わず、お尻を拭くのに紙を使用しないIさん(きのこカメラマンの第一人者)に久しぶりにお会いしました。
野糞記録を伸ばし、葉っぱしか使わないIさんの真似は到底できませんが、トイレットペーパー10メートルは長すぎます。

変わり果てたサラワクの熱帯多雨林。Wくんが飛行機から撮った写真

コピー紙などの使用は減ったけれど、まだまだ紙の需要はあり、熱帯多雨林などで、自然林を皆伐して、アカシアなどを栽培する製紙原料のプランテーションが増えています。

タイのユーカリプランテーション。成長が早い木が植えられるが、地中の水分を吸い上げる力が強くて、まわりのほかの植物が育たなくなる。

復路でも駿河沼津サービスエリアで休憩、お手洗いにも行きましたが、やはり10メートルと書いてありました。






 

2023年11月27日月曜日

猫の気持ちはいかに?

我が家には、祖母、母、娘の三世代の犬と、猫のトラと一緒にいたことがありました。
犬たちはそれぞれ名前を呼べばくるし、トラは名前を呼ぶと、必ず尻尾の先をチョイチョイと動かしました。若いころは名前を呼んでもすぐには来なかったものの、聞こえるところにいたときは、必ずこちらを注目していました。
そして、晩年は呼ぶと、飛んできていました。


ところがタマとマルは、名前を呼んでも一向に反応しません。
一緒に育ったからわからないのかと、1匹でいるときはとくに名前を連呼、食事時に1匹いないときも外に向かって大声で名前を呼びますが、自分に名前があることを知っている気配がありません。


トラを呼ぶと、必ず動いていた尻尾。
タマもマルも、呼んでも尻尾の先は微動だにしません。


自分に名前があることどうすれば気づくのか、見当もつきません。
「芸する猫っているよね?」
とはなちゃん。
「スイッチを押して、ドミノをしている猫を見たことがあるけどなぁ」
はなちゃんは、タマとマルに向かって、
「お手!」
い言いますが、彼らは知らん顔。名前もわからないのに、お手をするはずもありません。








2023年11月26日日曜日

『花の王国』


薬用植物を見ようと、久しぶりに『花の王国』を開いてみたら面白くて、ついつい4巻すべてを広げて見てしまいました。


園芸植物、薬用植物、


有用植物、そして珍奇植物の4巻です。
この本を購入した1990年当時は、仕事柄、熱帯の植物に夢中だったころで、
「あっ、これは見た! これ、見たい!」
と喜んだり、いつか見ようと夢を広げたりしたものでした。
それぞれの本の中から、私の好きなページを紹介してみたいと思います。


『園芸植物』からは、シクラメンです。
母がシクラメン好きで、毎年暮れには豪華な鉢を買ってお正月を迎えていましたが、風にもそよがない、静的な花のどこがいいのかと思っていました。
それが、パレスチナの村を歩くと、オリーブ畑の石垣にぽつぽつと生えている原種シクラメンが、秋には一斉に開花し、その美しさにすっかりとりこになりました。
また、日本でホームセンターで買った原種シクラメンを土に降ろすとき、球根がまん丸いのを知って、一層好きになりました。


我が家の原種シクラメンは、種が飛んであちこちから芽を出し、勝手に咲いています。球根は年々大きく育ちます。


そろそろ花の終わりですが、青息吐息だった白花も、すっかり元気になって株も増やしています。


『薬用植物』からは、コショウを選んでみました。
粒コショウは料理に欠かせませんが、庭から採ってきた緑の生コショウの実をたくさん使った家庭料理はまた別もの、懐かしい味です。


『有用植物』には衣食住に欠かせない植物たち満載ですが、一つ選ぶとしたらやっぱりイネかと思いました。
イネは、ビルマ北部、タイ北部、中国雲南地方原産です。タイの道端で野生のイネを見つけたときは感動しすぎて、タイ人にあきれられたほどでした。
図は左がイネ、中央はソバ、右はウキイネです。

4巻の中で、一番楽しいのは、やっぱり『珍奇植物』です。
オオミヤシ、フタバガキ科、ツチグリ、ラフレシアなどなど、面白い植物がたくさん掲載されている中で、私が実際に見たときに目が釘づけになったのは、タリエラヤシ(Corypha、原産地はインド東部、東南アジア)です。



タイの山中の道を走っていると、木々の間に、空に伸びる巨大な花が見えることがありました。
「なに、これ?」
タリエラヤシの樹高は、高いものは30メートルもあり、円錐状に咲く肉穂花序は、なんと3メートルから6メートルもあります。
この、バランスが悪いタリエラヤシが何本も咲いているのが突然視界に入ってくると、自分が小人になったような気持になります。一度に咲く花の数は1千万もあると言われており、発芽から開花までは数十年かかります。タリエラヤシの花は、竹の花のように突然開花し、開花後は枯死してしまいます。タリエラヤシはタイでは珍しくなくて、花が咲いているのを何度も見ました。
葉は、昔は仏典の写経に使われたそうです。


これはヤシの葉に刻まれたカンボジアの経文です、
カンボジアでは一度もタリエラヤシを見たことがありませんでしたが、森はたくさんあるので、タリエラヤシも行くところに行けば生えていることでしょう。
これはタリエラヤシの葉でつくられた経文でしょうか?


         

 

2023年11月25日土曜日

薬用植物と毒草

かつて、マレーシアのサラワクの熱帯多雨林に原生しているフタバガキ科の木が、日本の企業によって、盛んに伐採されていた1990年ごろ、森とともに生活していたマレー先住民の人たちに連帯して、熱帯多雨林を守ろうとする運動が、日本でも細々ではありましたが行われていました。 

その一環で、NGOの人、ジャーナリスト、弁護士、医師など数人で、バラム川流域にあるカヤン人の村を訪ね、そこから狩猟採集民のプナン人の案内で、プナン人の定住場所としてつくられたロングハウスまで熱帯林の中を歩いたことがありました。
プナンの案内人に約4時間と言われた行程は、私たちの足が遅くて、11時間かかりました。4人の案内人とともに、時には谷川の中を歩き、時には丸木橋を恐る恐る手を引かれて渡り、ちょっとした登り坂にあえぎ、行きはとくに青息吐息でした。
防水加工された登山靴には、せせらぎの中を歩くたびに水が入り、最初のころは休憩のたびに、靴の中に入った水を捨てて履きなおしていたものの、やがて足が膨張して脱ぎにくくなったため水を捨てるのをやめ、後半は靴の中でちゃぷちゃぷと水が動くのを感じながら、暗くならないうちにたどり着きたいと、ひたすら歩いたものでした。

熱帯多雨林の中は、ところどころに谷川や低い丘があるものの、四方を眺めまわしても同じ景色で、一人で歩けば、ものの数十メートル歩いただけで迷子になってしまいます。下枝のない高木や中高木がぽつんぽつんと伸びていて、それが遠くまで重なり合って、遠くまで見えるものの、遠近の幹でどこまでも埋め尽くされている空間、方向感覚は完全に失われます。
高木の下に生えている低木や草類は、生息条件が似ているからか、どれも同じような葉っぱをつけています。天を仰いでも、樹冠に完全に覆われて空は全く見えず、樹上に暮らしている動物たちも見えず、ただキーンという、人間の耳にはやっと聞こえるような高い周波数のセミの声だけが響いていました。

やっとのことでプナン人が押し込められているロングハウスに到着して靴を脱いだ時、足はふやけてしわしわで真っ白、疲れ果てていましたが、大勢の方たちにいろいろな話を聞いたり、プナンが主食としていたサゴヤシをいただいたりして、ほっとする夜を過ごしました。
そのとき、
「森の中で、野菜として利用している植物は何種類ぐらいありますか」
と訊いたら、みんなで指折り数えたり名前を出し合ったりして、30種類ぐらい上げてくれました。
「では、薬用植物としては何種類ぐらい利用していますか?」
と尋ねると、顔を見合わせて、次いで大笑いされてしまいました。
「そりゃぁ、いくつあるか、数えきれないよ」
「そんなもの、数えられないよ」
薬として、食べられる植物と同じくらい利用していると思ったのに、答えは思いがけないものでした。
そんなに薬草として使える植物があるんだ! ビックリでした。


782ページと分厚い『原色牧野和漢薬草大圖鑑』(三橋博監修、北隆館、1988年)に掲載されている薬用植物は1339種類もあります。これをみても、世界で先人たちがどれほど多くの薬用植物を見つけ、利用していたかがわかります。
薬用植物だけでなく、衣食住に役立つ有用植物に範囲を広げると、人の歴史とは、植物とのつき合い方を追求した歴史だったような気がします。
『原色牧野和漢薬草大圖鑑』のほかにも、いくつか薬草の本が手元にあります。


古い植物画を集めた『花の王国・薬用植物』(荒俣宏著、平凡社、1990年)。これは、『有用植物』、『園芸植物』、『珍奇植物』と合わせた4冊組で、大好きな本です。


『MEDICINAL PLANTS』(GEORGE GRAVES著、イギリス、1990年)はヨーロッパの植物中心ですが、熱帯の植物にも触れています。


『MEDICINAL PLANTS』(1987年)は、タイで開かれた薬草に関する国際会議の報告書です。


単色で、絵はそう楽しめないものの、熱帯の薬用植物を集めている点で役に立ったし、興味深い本です。
カンボジアの農村で野生のグラリオサを見たときには、「おぬし、雑草だったのか」とびっくりしましたが、薬草と知ると、なおびっくりです。


さて、薬用植物の本も面白いけれど、毒を持った植物も面白い。『毒草の誘惑』(植松著、講談社、1997年)に掲載されている毒草のほとんどは、薬用植物の本に、薬用植物として掲載されているのが面白いところです。少量使うと薬になるものが、大量に使うと毒となるのです。





写真は上から順に、『原色牧野和漢薬草大圖鑑』、『花の王国・薬用植物』、『MEDICINAL PLANTS』、そして最後は『毒草の誘惑』に掲載されているチョウセンアサガオです。


毒草で有名なトリカブトも立派な薬草、『原色牧野和漢薬草大圖鑑』には詳しく効能が記されています。


『花の王国・薬用植物』では、フランスのヨウシュトリカブト(右)とともに、江戸時代の日本の絵も掲載されています。


『MEDICINAL PLANTS』のトリカブトも洋種です。


そしてトリカブトは、もちろん『毒草の誘惑』にもとり上がられています。







2023年11月24日金曜日

マンカラ

先日、孫のはなちゃんが、裏紙に丸を描いたものと、紙を小さく切ったものを持ってきて、
「これ知ってる?世界で一番古いゲームなんだって」
と言いました。
丸は6つずつ、2列に並んでいて、これとは別に両端に1つずつ丸が描いてあります。
「あらっ、おばあちゃんはこれと同じゲーム盤を持っているよ」
「えっ? 見せて、見せて!」 


さっそく二階の展示室に連れて行って見せました。
「あっ、ほんとだ! おはじきも入っている!」
「これは石けりだけどね」

マンカラは、中東、アフリカ、東南アジアなどで古くから遊ばれてきた、とても古いボードゲームです。

元の記事のキリル文字のキャプションが読めないのですが、東南アジア、マレーシアあたりか?

地域によって、カラハ、オワリ、チョンカなどと呼ばれていて、

東アフリカ、ケニアのあたりか?

くぼみの数も、駒の数もいろいろです。
ガーナでは、いろいろな手づくりのマンカラ盤で遊んでいるのを見ましたが、北部ではこのように床に穴を開けて遊んでいるのを見たこともありました。

中央アジアのどこか?

この日は、はなちゃんにルールを教えてもらって紙の盤で遊びました。といっても、このボードを使うゲームは100種類以上あるそうです。


はなちゃんのルールでは、1つのくぼみに4つずつの駒を入れ、これを時計回りでも反時計回りでもいいのですが、1つのくぼみの駒を全部手に取り、隣のくぼみから順番に1つずつ入れていきます。最後の駒を、端のくぼみに入れたら、もう一回プレイできて、先に玉が全部なくなった方が勝ちです。

この日は紙の盤で紙の駒で遊びましたが、ルールを知っているはなちゃんを抑えて、何も知らず、考えもせずプレイした私が勝って、はなちゃんを悔しがらせました。


後日、私のマンカラ盤の石けりを片づけて、おはじきを数だけ用意して、再度はなちゃんと遊びました。


はなちゃんとお父さんの対決。


相手の駒も、自分のくぼみに入ってくるので、予測するのも難しく(できるはずなのだろうけど)負けそうなのに勝ったり、勝つと思ったのに負けたり、なかなか面白く遊びました。

服装からケニアのマサイ

使わせていただいた写真は、出典を書きたかったのですが、キリル文字で書かれていて、なぜか翻訳もできないので、勝手に使わせていただきました。どれも興味深い写真ばかりでした。

西アフリカのどこか?

アジアらしく見えるけれど想像がつきません!


駒としておはじきを使いましたが、つまみにくくて失敗でした。丸い石とかビー玉の方がサクサクと遊べます。
上の写真は石ではなく木の実でしょうか?


ほかにも木の実を使っているらしい写真がいくつかありました。
これから日本でも遊ばれるといいなと思います。