『中に入ってみよう』は、ロンシャンの教会、グッゲンハイム美術館など有名建築家が建てた非日常を経験できる空間、天井が見えないほど高いので自然と天を見上げてしまうゴシック建築の教会の空間、どこまでも続く京都宇治の伏見稲荷の鳥居など、いろいろな感情を刺激する空間を集めた本です。
『アジアの台所たんけん』は、トルコ、スリランカ、インド、ラオス、韓国、フィリピンの台所の写真が満載です。
トルコのパンづくり。
親戚や近隣の人たちが集まって、一度に80キログラムの小麦を使って数か月分のパンを焼くのだそうです。
トルコには行ったことがないけれど、スリランカにも行ったことがないので、お米をどうやって収穫するのか、どうやって乾燥させるのか見当がつきませんが、この写真を見る限り、刈り採ったものをすぐに脱穀し、ごみなども取り除いているみたい、写真の下の方で高いところから箕を使って風選している姿が見えます。
食事のたびに籾つきのお米を臼で搗いて、籾殻とお米を選り分け、ゴミを選り分けたお米をさらに臼で搗いて粉にして、水で溶いて麵の「イディアッパ」にして、蒸して食べます。
イディアッパは、軽くて朝食にぴったりだそうです。
新聞紙を敷いているのでわかりにくいのですが、笊はヤシの葉(あるいはアダンとかタコノキ)で編んだもの、イディアッパを少量ずつ乗せている籠は、今ではプラスティックになっていますが、もとはこれもヤシの葉でつくったものだったのでしょうか?
そして箕は、何でつくられているのでしょう? 写真ではわかりません。
スリランカの籠については全然知識がありませんが、このヤシの葉で編んだ杓文字差しは、とっても素敵です。いくつも穴を開けて編んで、その穴に杓文字を差しています。
もしかして、イタヤカエデの馬と似たつくり方で編んでいるのでしょうか?
インドの台所のスパイスボックスは素敵で便利、私も同じものを持っていて、重宝しています。
インドの包丁、手前から向こうに押して切ります。
地面に置いて、切るものを押しつけて切る包丁は、実際に使っているのを見たこともありますし、持ってもいますが、手に持って押して切る包丁は知りませんでした。
ラオスの台所は高床の家の床下です。
高床の家は、日中は涼しいのでたいてい床下で過ごします。
床下が台所というだけではなく、家内工場の役割も果たしているといったお話でした。
韓国の味噌醤油づくりは、一年で最も寒い時期に行われます。
日本だと味噌蔵にあたる、シャントッテという甕を並べた場所は、韓国では戸外にあります。バスに乗って韓国を縦断すると、あちこちにシャントッテが見えます。
味噌玉も興味深いけれど、籠に魅せられます。
シャントッテの写真の籠は竹に見えますが、味噌玉の写真の籠はかずらで編んでいるのでしょうか?
最後はフィリピンの北ルソンの台所です。
北ルソンは起伏の多いところ、標高が高いので涼しく、暮らしやすいので、山間にたくさんの村が点在しています。
車が通れる道路からは、長く歩かないとたどりつけない村々、ご先祖さまがつくりあげた棚田には、機械も家畜も入らないので、農作業はすべて人の手で行います。雨季に天水でお米をつくるのですが、田植えをする前の準備の代掻きや畔塗りが、一番大変な作業ではないでしょうか。
鍬を高く振り上げて、一人で一日中耕し続けているのを見たことがありました。
稲刈りの後、手伝いの人たちも含めて摂った食事に使われたココヤシの器と匙です。
軽いので、棚田に持って行ったりするのには便利と思いますが、ココヤシの殻を磨くのは大変な作業です。
穂刈りした稲は小さい束にしたまま、屋根裏に置いたり天井から吊るしたりして干します。
北ルソンの台所を見ると、元の色が想像できない竈猫を思い出します。
これは2002年に私が北ルソンの農家で見た屋根裏のお米です。
毎朝、これを臼に入れ、杵で搗いて白米にします。
そして、竈猫でした。
灰の中にもぐっているとき、目は閉じているので、目の周りだけ灰で汚れていません。
2 件のコメント:
どちらも面白い(面白そう)な本で、のらさんグッドチョイスです。図書館に有れば借りて見たいです。竈猫、初めて知りました。落日荘には風呂猫が居ますね。
reiさん
そう、とっても素敵な本たちでした。
ただ、『中に入ってみよう』は、人も写っているのですが、もうちょっと人が生き生きとしていて欲しかったかな?グッゲンハイムとか図書館とか、人が写り込んでなくて寂しかったです。欲を言えば荒川修作さんのアパートの内部も撮って欲しかった!(笑)。
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