ベンチにするために、元々コンクリートで袖壁を立ち上げておいたところに、夫が足場板で、座と背もたれをつくったのは、しばらく前のことでした。
置いているマットは、かれこれ40年も前にタイで買ったラタンの椅子についていたもので、日本でもその椅子を使っていました。
藍染の布でカバーをつくり直したのも、ずっとずっと昔のこと、ほとんどはボロボロになっています。
その藍染のカバーを洗濯してみたら、耐えたのはたった三枚だけ、あとはボロボロになってしまって、下に重ねてあった古い赤いカバーの方が無事でした。
ミシン仕事の苦手な私は、今更新しいカバーを縫う元気は毛頭ありません。
「上に裂き織りを敷きたいなぁ」
と夫、そうか、その手がありました。
居間のカウチには、マットのカバーを洗うのが面倒なので布を掛けていましたが、夫が寝っ転がるとぐちゃぐちゃになるので、さらにその上に
裂き織りの布を敷いています。
さて、骨董市の日、裂き織りを探しに行った夫とわかれて、私はのん気にさわださんの店を見て、まことさんの店をのぞいていました。
夫のfacebookを見ているまことさんが、
「ベンチができたねぇ」
と言うので、裂き織りを探しに、今日は夫も来ていることを話したら、
「放送してあげるよ」
とマイクで、裂き織りを持ってきた業者さんはいないかと、呼び掛けてくれました。
すぐにいくつか反応がありました。今日は持っていないけれど、家にはあるという方もいました。さっそく、夫を見つけて、裂き織りを持っている人のお店に行ってみました。
そのお店には、綴り合わせて大きくした裂き織りが三枚と、織ったままで綴り合せていない、約30センチ幅の裂き織りが、二、三枚ありました。
大きいもの中の一枚だけ、気に入りました。夫は赤っぽいのが欲しいと言っていたので、その希望にもぴったりでした。
裂き織りは布団やこたつカバー、ときには敷物として織られたものが多く、約30センチ幅に織ったものを180センチほどの長さに切り、5枚、あるいは6枚つないであります。
この裂き織りは、6枚つないでありました。
ベンチは長さが240センチあるので、裂き織りの布で包むなら、既成のものに布を足して長くしなくてはなりません。幅は5枚で十分ですが、ばらした1枚を5等分して足したのでは、長さが240センチにはなりません。60センチ長さのものが2枚取れるほどの布が、さらに必要になります。
そんなことを、店頭で夫とごちゃごちゃ話していたら、骨董屋さんがおまけに、150センチほどの長さの別の裂き織りを1枚くれることになりました。ちょっと白っぽいのですが、何とかなりそうでした。
つなぎ目を互い違いにするために、布は全部ばらばらにしました。
ばらした裂き織りの1枚を三等分して、おまけ布からは2枚、長さに足す布をとりました。
裂き織りは、経糸(たていと)は細い糸を使っていて、緯糸(よこいと)は裂いた布ですから太く、とてもほつれやすいものです。
これも、端というか切り口はざっとかがってありますが、ほつれかけたところもありました。
つなぐためには、3センチ以上重ね、切り口を表からも裏からも巻きながらかがり合わせてほつれにくくしました。さらにその上から。しっかりした木綿布で補強しました。こうしておけば、表につなぎ目が見えないし、少しくらい引っ張られてもすっぽ抜けないで、木綿布が守ってくれます。
これは、おまけの別布をつないだ部分です。
布で見たときは、色合いが違うし、使ってある布の裂き方が太めなので、うまく合うかどうか不安でしたが、同じ裂き織りどうし、なんとか馴染んでくれました。
元々、布の耳の部分はそのままではなく、折って綴じつけて、それをつないでありました。
どの布も長さを足したあと、綴じ合わせます。
指ぬきを使って綴じ合わせましたが、布が硬いので、右の人差し指は腫れあがってしまいました。
この写真では、端の布は耳を折っていませんが、裏をつけるため、これも折ってしつけ縫いをしました。
裏には、古い布団カバーを使いました。
捨てようかどうしようか迷っていたもの、捨てないでよかった、役に立ちました。
トラは裂き織りがすっかり気に入って、私が作業している数日、いつでも裂き織りに乗っていました。
猛暑の日々、保冷材をタオルに包んだものを置いて、それを利用するよう触らせてみるのですが、全然興味を示さず、裂き織り一筋でした。
敷いてみると、別布を足した部分が一番目立ち、ちょっと失敗でした。
でも、解いて縫い直す元気は、まったくありません。