この辺りの農家の母屋は入母屋(いりもや)づくりか方形(ほうぎょう)づくり、納屋や蔵は切妻づくりと決まっています。
母屋が入母屋や方形になったのは、茅葺き屋根からの移行で決定づけられたものと思われます。
入母屋とは正面から見た左右の屋根面(側面)が、上部は切妻になっていて、その下に庇屋根をつけた形になっている屋根のことを指します。
母屋が入母屋や方形になったのは、茅葺き屋根からの移行で決定づけられたものと思われます。
入母屋とは正面から見た左右の屋根面(側面)が、上部は切妻になっていて、その下に庇屋根をつけた形になっている屋根のことを指します。
写真の家は、切妻の四つ足門の奥正面に大きな入母屋屋根の母屋があり(この写真では玄関しか見えていない)、右手に入母屋の「隠居」が、左手に切妻の納屋が見えます。隠居とは、若夫婦に母屋を譲った後、先代が暮らす棟のことです。
納屋は二階づくりになっています。
ところで、入母屋に二階をつけると、途端にへんてこな形になります。
この家は二階の高さがないので救われていますが、一階も二階ももっと天井を高くして、奇抜な形をした家がいっぱいあります。
切妻の二階家が美しいのに比べると、入母屋の二階造りはだいたい無様です。もっと屋根勾配をゆるくして、天井も低くすれば、プロポーションはよくなるでしょうか?
植木でよく見えませんが、方形屋根に方形の二階を乗せた家もあります。
敷地が限られているのに、重厚な田舎づくりにこだわった家の二階です。一回に庇屋根を巡らしたのは雨仕舞の観点からよかったとしても二階の二重屋根と飾り垂木、そした不釣り合いに大きい鬼瓦は、威厳を表しているというより、「そこにこだわるくらいなら窓を何とかしたらよかったのに」と言う感じです。
入母屋や方形の二階家に比べると、切妻の納屋はだいたい、美しい姿をしています。
もちろん、その家に住んでいる人の考えというよりも大工さんの意向が強く現れているのかもしれませんが。