鶏を飼っていらっしゃる方から、卵をいただく機会も多いのですが、名前のある鶏さんの卵をいただいたのは初めて、アンジェリーナちゃんの卵です。
卵は、久しぶりにすき焼きをつくって美味しくいただいたのですが、包装籠が気になります。アンジェリーナちゃんの飼い主さんが包装籠として買われたものか、何かが入っていた籠なのかわかりませんが、日常使い用ではなく、包装籠としてつくられたものに見えます。
焼き菓子などを入れる、ヴェトナム製の四角い
包装籠が出回っていますが、この丸い籠もヴェトナム製に違いありません。
つくり方は、平らに竹ひごを組んでおいてそれを縁で丸くまとめながら編み上げるもの、浅い籠をつくるときの方法で、日本にはよくある編み方です。
タイ、カンボジア、フィリピンなどでは、綾に織っておいて平たい籠をつくることはありますが、平編み(ひらあみ)でこのように仕上げることはありません。
これはカンボジアの平たい籠、左は篩(ふるい)なのですが篩の部分も綾編み、周りも綾編みになっています。
そして、フィリピンの、綾編みの平たい籠(の蓋)です。
これも蓋しかありませんが、中国の籠、綾編みです。
同じつくり方の籠として比べたのは日本の籠です。
包装籠は長く使う籠ではなく、数をつくってなんぼの籠なので、雑につくってあることは否めませんが、それでも、安い賃金で、手でつくっていることに感心してしまいます。
竹ひごは薄い薄い。表も裏も皮はついていませんが、ヴェトナムの竹は皮がついたままだと固すぎるのか、皮を取り除いて籠を編むのが一般的です。もっとも、縁巻きには皮つきの竹を使っています。
余談ですが、比べるために出してきた、いつも蕎麦を盛っている日本の古い笊を見て、改めて仕事の細かさにびっくりしました。
ひごは水切れがよいように、きれいに三角に面取りしてありました。
さて、いろいろな平たい籠を探していたら、我が家にすでにヴェトナム製の包装籠が存在しているのを見つけました。先輩籠は卵の籠より小さいのに、ひご数は多く、ちょっとだけ丁寧につくってありました。いつから我が家にいたのかしら?
ヴェトナム人の名誉のためにつけ加えておきますが、彼らも丁寧な仕事をする人たちです。一つ10円の手間賃で売るような籠はちゃっちゃとつくりますが、長く使う籠をつくるときは丁寧に、自家用となると、さらに丁寧な仕事をします。
この2つは、ヴェトナムの背負子の蓋(左)と手つき籠の蓋(右)ですが、平編みではなく綾編みにしてあります。左が自家用、右が売るためにつくった籠であることは、一目瞭然です。
もしかしたら、平編みの平たい籠は近年、輸出用につくられるようになったもので、伝統的にはヴェトナムでも、綾編みしかなかったのかもしれません。
ちなみに、平編みより綾編みにする方が、目がきっちり詰まります。