2010年3月6日土曜日

キンマの道具入れ 



タイやカンボジアの年配の女性、とくに農村女性は、ビンロウの実をプルーの葉で巻いて、嗜好品として噛んでいます。
農村では、いわゆるキンマの材料の、ビンロウ、プルーの葉、きざんだ煙草、石灰ビンロウを切る鋏などは、たいていあり合わせの籠に入れていますが、ビニールの袋、いわゆるレジ袋に入れている人もいます。

これは、タイ東北部、ブリラムの村に住む、元同僚のトンカムの叔母さんからいただいた、手づくりの籠ですが、ブリラムあたりの女性は、この籠にキンマの材料や道具を入れて、いつも手元に置いています。
籠の材料は、ココヤシの葉柄です。縁や持ち手など、かつてはラタンで巻いたものと思われますが、現在では、どれも、ナイロン紐で巻いてあります。これだけ手を掛けるなら、ラタンで巻いて欲しいと思うのは、外部者の勝手な考えです。ナイロン紐の方が、ずっと簡単でしょうから。
これは円形ですが、楕円形のものもあります。




これは、カンボジア、プノンペンのトゥールタンポン市場の骨董屋をのぞくと、もっとも一般的に見られる、キンマの道具入れです。曲げ木細工に漆をほどこしたものです。




痛みやすいところには、ラタンを張って補強したものが一般的です。ラタンの飾り彫りがアクセントになっています。




高杯は、多目的に使える形ですが、『THAI STYLE』という本に、似た形のものが、キンマの道具入れとして載っていたので、これも、もしかしたらキンマの道具入れとして使われたものかもしれません。




十二角形で、裏を見ると、薄い板の片側だけに切り込みを入れて曲げて、重ね合わせた、とても手の込んだつくりになっています。




こちらは、ちょっと見かけない、斬新な形と色のキンマの道具入れです。
プノンペンに住んでいたとき、私のアパートの上の部屋に、フランス人が住んでいました。彼の部屋の入り口にこれと同じものを飾ってあるのが、外から見えて、「斬新だなあ」と、思っていました。
彼は小さな骨董屋を開いていましたが、あるとき、その骨董屋を訪ねると、これがありました。即、購入してしまいました。見るたびに元気が出るような、楽しくなるような、キンマの道具入れでした。

タイの骨董屋で見かける、典型的なキンマの道具入れは、四角い三宝のような形をしたものです。たくさん見てきましたが、好きなものに出会ったことがなくて、私は持っていません。


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