カンボジアの農家で、おしゃべりをしていて、脱穀の話になりました。
「タイでは、二本の棒を結んで、それで稲束をはさんで脱穀するのよね」と、私が言うと、「これのことかしら?」と、納屋から取り出して見せてくれたのが、このトラビエットです。
タイのものは、ただの棒でしたが、さすが木工のカンボジア、素敵な形に削りあげてありました。
この、紐を結んだ位置が、左右でずれているのがミソです。尖った方で稲束をすくい取り、くるっと巻いて、板に叩きつけ、脱穀し終わったら、トラビエットを上手に使って、稲わらを遠くに投げます。ただ、手で投げるより、トラビエットを使った方が、稲わらはずっと遠くまで飛んで行きます。稲わらはすぐにたまって、脱穀の邪魔になりますから、遠くで山になってくれる方が、ありがたいのです。
使い込んで、つるつるに光っている、美しいトラビエット。
パルメラヤシの葉柄で新しい紐につけ替えて、「さあ、もっていきなさい。家ではまたつくるから」と、プレゼントしてくれました。
これが、トラビエットを使って、実際に脱穀しているところです。タイやカンボジアの在来種は脱粒性が高く、板に打ちつけるだけで脱穀できます。刈るときには、米粒を落とさないように気をつけないといけませんが、脱穀機要らずで、音も楽しげで、かつては若い男女の親しくなる場だったとも聞きました。
田んぼの向こうには池が、そしてパルメラヤシが見えています。
農家の猫。この猫は、しょっちゅう、身体をねじってくつろいでいました。
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