2019年1月11日金曜日

機織り室

作業棟のホールに置いてある織り機は冷遇されています。
ホールで集会があるたびに、室外に運び出され、少人数の集まりで運び出さなくても事足りるときでさえ、邪魔にされ、運び出されてしまいます。
以前、夫が提案しました。
「ちゃんとカバーするから、軒下に置いておいたらどうだろう?」
はっきり使うあてもないけれど、それでは、織り機は一生使えません。私は、きっぱりとその提案を拒否しました。
どうしたものかと、ずっと思案していましたが、あるとき、
「織り機を二階の宴会室に置きたい」
と、夫に言いました。
ホールに比べると、宴会室はつくったものの、あまり使用されていません。
宴会室を、作業棟二階につくった理由は、母屋の居間では、10人以上になるとテーブルを囲みにくいというものでした。確かに、宴会室のテーブルの方が長いので、12、3人は楽に座れます。しかし、部屋に引きがないので、大勢座ると圧迫感が出てきます。
母屋の居間のテーブルにぎゅうぎゅう詰めで座っても、立ったり、長椅子に腰かけたり、食堂への階段に腰かけたりできますが、宴会室には逃げ場がなく、ゆったり座っても、なんとなく息苦しい感じになってくるのです。

そのときは、夫はしぶしぶ同意しましたが、ある日、なにか重要なことを思いついた顔をして、私を呼びました。
作業棟の南の、仮設ゲストハウスの横を指さして、
「ここに、織り機を入れる小屋を建てるのはどうだろう?」
正気でしょうか?
「今だって、二人暮らしには広すぎるのに、これ以上建物を増やそうというの?断固反対よ!私は宴会室に織り機を持って行きます」
新しいことを思いつくのが好きな性格、何とかしてもらいたいものです。


と、このような、長い経緯があって、一昨日、懸案になっていた宴会室の長い掘りごたつ形の穴を埋めることに着手しました。
織り機は、ちょうど掘りごたつの穴(と言う以外、適当な日本語がない!)の縁の木に乗ります。穴の内法が91センチ、織り機の脚の内法も91センチです。


よく見ると、穴にまわした枠の木が、畳よりちょっと低いところもあれば、同じ高さになっているところもあります。
ケヤキはよく乾燥していても、切るたびに反ったりねじれたりするのでとても扱いにくい材であるとはいえ、いかにも、「夫の仕事だわ」と言いたくなる仕上がりです。もちろん、枠を先につくって、後から畳を入れています。
しばし、どう床板を置いたものか考えてしまいました。


夫からは、穴を覆う床板を少し長くして、その材が畳からちょっと浮いたようにつくって欲しいと言われていました。つまり、床板厚3センチ+1センチほどの低い机を置いたような形、その上に織り機を置くというものです。しかし、こんな中途半端な段差をつくって、その上に織り機を置いて作業するなんて、現実的ではありません。
私は、多少でこぼこするものの、夫が穴の東西に配したケヤキの枠(南北はさらに低くつくってある)と張る床材を、つらにすることにしました。


まず、床板をその上に置けるよう、床板を受ける材をケヤキの東西の枠板に打ちつけました。根太になります。


根太には、何か所か脚もつけました。


床板は厚さが3センチなので、三尺(約91センチ)はとばせません。間に一本、根太を入れました。
これで、準備ができました。


東西の枠より低い南北の枠には、床板の裏を削ってかぶせます。


枠に高さを合わせると、畳よりちょっと低いのですが、そう目立ちません。


最初のうち、本実(ほんざね)加工した板を、隠しビスで留めていましたが、途中からは板を置くだけにしました。

この、隠してしまう穴のスペースを収納として使えないか、糸などを入れられるのではないかと思いましたが、入れたら最後、取り出すのが億劫になりそうです。


途中で偵察にやって来た夫が、
「なにやってんだよ。これじゃぁ畳の縁がへこむだろう!」
と言いました。
しかし、私は馬耳東風、つくっている者は強いのです。
「へこんだらからってどうよ。ずっと織り機を置いておくんだから問題ないでしょう」


完成しました。
床板は置いただけなので、もし中を収納として使いたい気持ちになったときは、左から板を外せばいいのです。


さて、ホールの片隅で邪魔者扱いされている織り機を分解して、運びました。
両脇は分解できなくて重いので、夫の手を借りました。


この部屋は明るいので、織りものを始めるとしたら、楽しく作業できそうです。


暇を見て、いつでも織れる状態にしておきたいとは思いますが、いつになることやら。
作業棟の建設は、まだまだ階段、各種ドアなど、それに漆喰の壁塗りが残っています。
なんとか、家の形がつくまで、織りものどころではありません。







6 件のコメント:

karat さんのコメント...

おー、まるで織り機の為に作られた部屋のようですね。
真ん中にピタッと収まって、明るそうだし、仕事がはかどりそう、というかその部屋に行くのが楽しみになりそう…。織りを専門(趣味というか研究というか…)にしている方から見れば垂涎の的のような部屋ではないですか?。
ところで大きな窓はどの方角を向いているのですか?

さんのコメント...

karatさん
垂涎の的というほどでもないです(;^_^A
織り機は周辺機器がたくさんあって、場所を取りますが、素敵な「織り部屋」を持っていらっしゃる方を何人も知っています。だいたい、「織り部屋」としてつくられたなら、糸も周辺機器もあるから、もっと収納スペースを考えておきたかったところです。と言ってもぜいたくを言えばきりがないですね。
大きい窓は真西向きです。母屋の西向きの窓の北西には木が生えていて、夏の西日はちょうど入らないのですが、ここはもろに西日が入るでしょうね。暑そう!今は太陽はありがたいけれど、どうなることやら。もっとも窓は全部開くので風は入ります。
今は、早く隙間風をなくしたいとばかり考えていますが、夏に風を入れることも考えて、あちこちふさがないとだめですね。

hiyoco さんのコメント...

えー、テーブルの長さをどうするかとかいろいろ言っていた掘りごたつが、あっさり機織り部屋に変身とは!自由すぎます(笑)。でもよかったですね、安住の地が見つかって。軒下なんてないですよねぇ(笑)。

af さんのコメント...

軒下から最も高く見晴らしの良いお部屋に一気に格上げ!なんか、シンデレラを思い出しました。

ここに座ってお庭を眺めながら…
なんと贅沢な部屋でしょうか!
お部屋の雰囲気も変わり、すぐにもとから織り機の部屋であったかのようです。

いつもながら、春さんと先生の会話が目に浮かび、電車の中でニヤニヤ読んでました笑

さんのコメント...

hiyocoさん
そうそう、テーブルを二つにするとか、長く論争していましたよね(笑)。長かったぁ。
織り機部屋ですが、ただでさえ、「お二人で暮らしているんですか?」と問われることもあって肩身が狭いのに、また家(小屋)を建てちゃうって選択はないでしょう!!!
今日はホールの扉の上に板を張ろうと、織り機が出されそうになっていた場所に脚立を建てたのですが、周りがあまりにも汚いので片づけているところです。つくる前に片づけろ!と声を大にして言いたいです(笑)。やっぱり、軒下でも外は汚れます。長い間放置していた、息子にもらった茶箪笥とか、二階が宴会室でなかったら受け入れられると、きれいに拭いて二階に運んでいます。

さんのコメント...

Akemi Fujimaさん
シンデレラですか?(笑)
まぁ、織り機が喜んでいることは確かだと思います。長く、冷遇していましたからね。まだ、踏み木と綜絖をつなぐための紐などを準備して織り機をもとの形にするまで時間がかかります。
日曜とか、織り機の前に座れたらいいですね(^^♪コンピュータの前ばかりじゃなくて(笑)。