木工の盛んなロシアには、木のおもちゃがあります。
今では工場でつくられている木彫りの動くおもちゃは、もともとは、子どもたちを楽しませるために、木工に携わるお父さんたちが、仕事の合間につくったものだったと言われています。
今では工場でつくられている木彫りの動くおもちゃは、もともとは、子どもたちを楽しませるために、木工に携わるお父さんたちが、仕事の合間につくったものだったと言われています。
動くおもちゃは、マトリョーシカのふるさと、セルギエフパサードの近郊の、バガロツカエ地方で、今も盛んにつくられています。
バガロツカエ工場。写真はリャビーナのブログから拝借しました。 |
以下、「ロシアの工芸、雑貨、器のお店リャビーナ」の店長さんの、バガロツカエにある「からくりおもちゃ工場の訪問記」の写真をお借りしました。
舟に乗ったウサギの制作中、木は乾燥した西洋菩提樹です。
作業台の左の手前にあるのが舟の材料です。
舟の内側を削り終えると、舟の脇にかかります。
目にもとまらぬ速さとはいきませんが、木片はあっという間に舟になるそうです。
手で削ったとは思えない、左右対称の舟ができました。
ウサギを舟に座らせます。この写真で奥に転がっているのが、たぶんウサギの材料でしょう。
完成品の写真は載っていなかったのですが、別のところで見た画像によると、ウサギが両手にオールを持って舟を漕ぐようです。
土台をつくる職人さんの仕事はここまで、ここからは、からくりをつくる職人さんの手にゆだねられます。
土台をつくる職人さんの仕事はここまで、ここからは、からくりをつくる職人さんの手にゆだねられます。
箱に入っているのは、両手で太鼓を叩くクマのようです。
からくりをつくる職人さんは、紐のついた動くパーツ(この場合は、左手前に置いてあるクマの腕)を釘で本体に取りつけ、錘の玉をいい具合にぶら下げて、何度も動かして微調整して出来上がりです。
できあがった動くおもちゃ、鐘を鳴らすクマです。
以上、リャビーナの写真をお借りしました |
チェスをするクマさんは、一部彩色しています。
ここからは、私の持っている動くおもちゃです。
マトリョーシカを絵つけしている「クマの画伯」は、台座を持ち上げて、ぶら下がった玉を回すように動かすと、右手が上下して、マトリョーシカを彩色します。
ソヴィエト時代につくられたもの、バラライカを持ったクマとウサギ2匹の構成です。
玉を動かすと、
熊はバラライカをかき鳴らし、
2匹のうさぎたちは片足をあげたりさげたりして踊ります。
裏を見ると、Made in USSRは読めますが、キリル文字が読めません。
UPしていなかったけれど、ソヴィエト時代の餌をついばむ鶏も、我が家にいます。
おもには轆轤(ろくろ)仕上げの「餌をついばむ鶏」ですが、鶏の首や尻尾は、ナイフで仕上げてあります。
「餌をついばむ鶏」の裏です。
最初の、半分消えているキリル文字はバガロツカヤと読むとわかりましたが、あとはわかりません。
踊りを楽しむ動物たちも「餌をついばむ鶏」も、スタンプ印に85という数字が見えます。1985年につくられたということでしょうか?
「餌をついばむ鶏」は、台座に合板を使っています。
もちろん、当時は何もかも国営工場でつくられていたのですが、合板という工場製品を買って使った方が手っ取り早かったということは、「餌をついばむ鶏」をつくった工場は、比較的大きな工場だったのかもしれません。
持ち手のつけ方も、合板を使えば必然的に変わってきて、「餌をついばむ鶏」は釘で打ちつけてあり、踊りを楽しむ動物の方は、組み込んであります。
ところで、以前はロシアのものだとばかり思っていた右手前の「餌をついばむ鶏」は、こうやって並べてみると、ロシアではなくほかの国でつくられたものに思えてきました。
ソヴィエト時代につくられたものとしても、印象が違いすぎます。
それに、裏にMade in USSRのスタンプ印はありません。
錘の玉のつけ方が、ロシアのものは、昔も今もおへそのようにちょっと盛り上がったところに、紐を埋め込んでいますが、この写真では左の「餌をついばむ鶏」は、玉にU字の釘を打ってそれに紐を結んでいます。
ただのタコ糸と紅白の紐というところも違い、その紐もロシア製のほかのものよりずっと長くつくられています。そして、決定的に違うのは、鶏の頭が轆轤でドーナツのようにつくったものを切ってつくってあるということです。
以前の「餌をついばむ鶏」のところでは、鶏の頭が轆轤で挽いたものを薄切りにしていて、まるでドイツのようだと書いてしまいましたが、これそのものがドイツでつくられたものだったかもしれません。
「餌をついばむ鶏」は、ポーランド、ハンガリー、チェコスロバキア、ドイツ、スウェーデンなど、ヨーロッパ諸国でもつくられていたようです。
チェコのおもちゃの本には、チェコでつくられた「餌をついばむ鶏」が載っていて、複雑なつくりではないようですが、鶏の頭はやはり薄切りにしているようにも見えます。
『ロシア 暮らしの中のかわいい民芸』小我野明子著より |
さて、写真の女性が3人で何かしている動くおもちゃは、セルギエフパサードにある「おもちゃ博物館」に展示されているものです。
玉を回すと女性たちが何をするのでしょう?
興味津々です。
6 件のコメント:
以前にもマトリョーシカについて書かせて頂きましたが、東京おもちゃ美術館で10年程前にロシアのおもちゃを企画展示しました。その時に、今回ご紹介頂いた木製の動くおもちゃも多数展示しましたが、殆ど熊がモチーフで、うさぎやキツネも加わり、童話を元にしたものが多かった様です。パソコンを操る熊は違ったかもしれませんが。
吊り下げた球が動力となる物の他に、左右に動かす二本の棒が動力となる物も有ります。その他、ホフロマ塗りや春を待つ窓辺に飾るカラフルな土人形など(産地は忘れましたが)も展示しました。
資料整理で見つけた2009年の朝日新聞の切り抜きに、「マトリョーシカ危うし」とのタイトルで、経済危機のあおりで売れ行きが落ち込み、「国のシンボルが消えてしまう」との危機感が広がったが、販売量の3割を占める日本も需要回復のカギを握っているとの事。その後は?
reiさん
わぁ、おもしろい情報ありがとう。
今度、東京おもちゃ美術館でロシア展をやるときは、ぜひご一報ください。といっても、メキシコ展も、インド展もやって欲しいところですが(笑)。
2009年に「マトリョーシカ危うし」ですか?それからすっかり持ち直したのでしょうね。今は強気の値段設定で、創作ものは手が出ない値段になってしまい、隔世の感があります。世の中、あっという間に変わっているのですね。
左右に動かすおもちゃは、ロシアのは鍛冶屋とクマが代わりばんこに槌を打ち下ろす「鍛冶屋」が有名ですね。ご縁があれば手に入れたいと思っていますが、今はつくってないようですね。
左右に動くおもちゃを以前UPしたことがありますが(http://koharu2009.blogspot.com/2010/05/blog-post.html)ここでロシアのものと書いてあるのは、ロシアのものではない気がします。
ロシアの土人形はディムカヴァ(http://koharu2009.blogspot.com/2012/04/blog-post_08.html)ではないですか?素敵ですよね。アルハンゲリスク(http://koharu2009.blogspot.com/2014/05/blog-post_11.html)のものも持っています。たぶんほかの産地のも持っている、土人形も魅力的です(笑)。
クマがマトリョーシカに色を塗っているのが面白い!ウサギはコサックダンスを踊っているように見えます。春さんはリャビーナさんのお得意様なのですね~。
リンク先のディムカヴァの土人形も可愛いです。ロシアっぽくない(笑)。土人形って焼いてあるのですか?
春さん
そうですディムカヴァです。長い冬の間、明るい春を待ちわびながら女性たちが作り続けて来たとの事。アルハンゲリスクも楽しくて良いですね。今更言うまでも有りませんが、春さんのコレクションの幅広さに驚きです。
おもちゃ美術館のこれまでの企画展示は、日本の伝統玩具を始め、アメリカ、アジア、アフリカなど作られた地域を限定したものから、シュタイフ、オートマタ、木のおもちゃ作家、構成玩具などをテーマとして来ました。メキシコやインドの物は民族衣装の人形を展示した事は有りますが、コレクションは残念ながら手薄かもしれません。
hiyocoさん
残念ながらお得意さまではなく、まったくの不お得意さまです(笑)。
土人形を買ったりしましたが、もう何年もブログをのぞいているだけです。数年前に、名古屋に行ったときリャビーナを訪ねてみようと地図を描いていったのに、地下鉄の出口を間違えて、時間切れでたどり着けませんでした(笑)。ナビがあったら行けたのにね。
そうそう、ウサギは片足をパッと挙げるので、コサックダンスみたいですね。土人形はロシアなどヨーロッパのも、素焼きしてから顔料で色を付けています。
reiさん
何かのきっかけで、やはりリャビーナの店長さんのブログでディムカヴァ人形を見たときは、ぞくぞくしました(笑)。
それまで、ルーマニアの土人形、フランスの土人形は持っていたのですが、ロシアにこんな素敵なのがあったのかと思いました。でも、昨年でしたか、リャビーナのブログで久しぶりにディムカヴァ人形を見かけたときは少し大人になっていて、見るだけにしました(笑)。
そうでしたよね。館長さんはロシアに思い入れのある方でしたね。でも、そんなおもちゃ美術館があるというのは、とても素晴らしいことです。いつか必ず、伺いますね(^^♪
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