クロモス(Chromos)とは、フランス語圏の呼び方、英語圏ではスクラップピクチャーとかダイカットと呼ばれている、裏に糊のついていない紙製のシールです。
切り離して、手紙やカード、アルバムの表紙や箱などにも貼って装飾しました。
私の持っているクロモスは、いずれもドイツ製で、1890年代から1920年代につくられたものです。
クロモスは多色印刷が発明された19世紀半ばに生まれ、その美しさと珍しさから瞬く間に欧州で大流行しました。
このクロモスは、表は艶のあるちょっと厚手の紙で、型押し加工(エンボス加工)されています。ドイツではどうだったのか、フランスでは、チョコレート屋さんや花屋さんがクロモスを宣伝のために配り、客、とくに子どもたちに大喜びされました。
天使と子どもたちのクロモス。これらをどう配置して貼るか、コラージュする人の想像力に任されました。
拡大して見ると、オフセット印刷がまだ使われていない時代の印刷技術である、石板多色刷り(リトグラフ)によってつくられているのがわかります。
カラー印刷が可能になり、おまけでもらったりと比較的手軽に手に入ったクロモスが日常生活をどんなに彩ったか、その喜びが伝わってきます。
クロモスは今でもつくられているようで、オリジナルのクリスマスカードなどをつくるアイテムとして使われています。
世界で初めての切手がイギリスでつくられたのは1840年。当時の印刷技術から黒白と青白の一色刷りでしたから、多色刷りがどんなに嬉しいものだったか、想像に難くありません。
日本で言えば、竹久夢二の時代です。
0 件のコメント:
コメントを投稿