2012年6月14日木曜日

牛と暮す、水牛と暮す


幅8センチ、長さ48センチの手つきの浅い籠です。ラタンでできていて、ちょっと窪みがついています。
しっかりできていて、茹でた枝豆くらいは乗りそうです。


こちらは竹の籠。
上はタイのもの、下はカンボジアのものです。


どちらも、牛や水牛がお米を食べないよう、口に食ませたり、かぶせたりする籠でした。


もっとも、タイ人もカンボジア人も心優しい人たちで、牛や水牛をそれは大切にしますから、めったに使うわけではありません。田んぼをつくっている期間は牛は放し飼いにはしませんので、口ふさぎは必要ありません。

お米の収穫期の、刈り取った稲をござの上などに置いて、牛に踏ませて脱穀するときだけ、この口ふさぎを使います。
かく言う私も、残念ながら使っているのは見たことがありません。

タイやカンボジアの稲は脱粒性が高く、牛に踏ませても落ちます。でも、田んぼの大きさ(収穫量)がそこそこのところでは、板に叩きつけて脱穀する方が一般的です。


タイの牛に食ます籠は、籠屋さんで売っていましたが、 カンボジアでは、自分の牛に合わせて、各家で手づくりします。
道端に雑草として生えている、細いラタンの方が手に入りやすいところでは、ラタンでつくります。

牛に関する道具と言えば、もう一つ思い出すものがあります。


これはプノンペン近郊の村の雑貨屋で売っている、牛を引く綱です。
パルメラヤシの葉柄を裂いて、硬くなってあります。

 

片方が「わ」になっているので、ここにもう一方の端を通して引いて閉めます。


牛の首に回す綱と、引く綱とわかれているのもあります。これだと、牛の首がどんどん締まっていきません。
村でしか買えない綱で、私の大好きなものの一つです。
縄がどうもうまくなえない私から見ると、感動的な美しさです。


というわけで、まだカンボジアで暮らす以前、時折行くことがあったころは、村を訪問するたびに欲しくなって、何本も買いました。
数えてみたら、まだ六本残っていました。


パルメラヤシは、植えておくと何年もヤシ砂糖が採れ、葉は籠、屋根、ござなどの材料になり、葉柄は裂いて、紐や綱になり、切り倒せば材木になるので、本当にプノンペン近郊の村にはなくてはならない万能樹です。
 



4 件のコメント:

昭ちゃん さんのコメント...

春さーん鑑定してー
ぬりえ作家の喜一さんが塗りえを止めてから書いたと思われる絵があります。
署名がないけれど画風のタッチが似ています。(家内のスクラップです)
見てもらいたいなー
ブログ登場は明日になりますが、、、。
なるべくわかりやすい単語で送っています。
昭ちゃん

さんのコメント...

昭ちゃん
明日を楽しみにしています。
ただ、きいちは時代によって6種類ぐらいサインがありますが、サインなしというのがどうでしょう。

なるべくわかりやすい単語ってなにですか?もしかして昭ちゃんは普段は日本語入力で、これにコメントくれるときだけ、ローマ字入力とかですか?

匿名 さんのコメント...

こんにちは はじめまして 高橋です
いつも 楽しませていただいております
牛や天神さんの人形の手綱のことを調べていますが、
先日から 写真のような 牛の鼻籠(?)が記憶が甦っていて、気になっていました 農家の友人に聞いたところ 体の具合が悪い時に草を食べない様につけたと言っていました 写真を探していたので、参考になりました
 ありがとうございました

さんのコメント...

高橋さん
はじめまして。コメントありがとうございました。
インドなどでは、畑を放し飼いの牛から守るというのが、一つの課題ですが、タイやカンボジアではお米をつくる時期はしっかり遠ざけてあるので、口籠をはめなくてはならないような問題は、ないようです。
それにしても、日本でもついこの前まで、牛・馬を大切にしていた文化があったのですね。数年前、家の犬が死んだとき、近所のおばあちゃんから、「牛・馬を埋めたところに埋めるかい?」と聞かれて、「はぁ、牛も馬も大きかったから、たぶん他家の人も協力して、決めた場所に埋めていたんだ」と妙に感心したことがありました。
またどうぞ、遊びに来てください。