2015年10月2日金曜日

天秤梁


ちょうど一年前、かんばやし製材所に、天秤梁にするケヤキの材を買いに行きました。
倉庫に積んである材の中から、大きさ、厚さの見合ったものをさがします。
 

かんばやしさんは、おん年88歳、いつもやかましい音を立てながら仕事をしているので、耳は遠いのですが、元気いっぱいの現役です。


従業員がすべて年よりの製材所で、若い、林業を目指すひろのくんは、かんばやし製材所にとっても、日本の林業にとっても、「希望の星」です。


選んだケヤキ二枚は、厚み16センチに製材しなおしてもらいました。

そして約一年、大切に我が家の玄関に保管していましたが、しばらく前にもう一度持って行って、厚みを14センチに製材しなおしていただきました。
これは、大梁を支える天秤梁になります。
大梁を上げたら、あらかじめ開けてあるコンクリート柱の穴にこの天秤梁を差し込み、それで大梁を受けます。


我が家の、一番おおきな丸鋸でも、切れるのは厚みが12センチまでです。
チェーンソーで切ることも考えましたが、夫がまず丸鋸で切って、残り2センチの厚さは、手鋸で切りました。
それに、私がコンクリート柱と大梁に噛み合う溝をつくります。


溝の刻みには、丸のこと溝切りを使いました。


溝切りは、敷居や鴨居をつくるための道具で、もっと広い刃もありますが、12ミリの刃を使いました。


溝切りは、おもには縦目で使うもの、繊維を切るように使うと端がささくれるので、まず丸鋸で端を切っておきます。
丸鋸で二度引いても3ミリくらいしか彫れませんが、


溝切りを使うと、一気にこんなに彫れます。


12回くらい動かして、出来上がりです。
 

ところが、反対側のコンクリートと噛み合う溝には、溝切りが使えません。
というのは、我が家の溝切りは小型で、彫れる最大の深さが21ミリしかないのに、深さ30ミリ欲しいのです。
「大きい溝切りを買うか?」
「いいよ、そんなに溝が深い敷居や鴨居なんてないから無駄。丸鋸で切るから」
かくして、全部を丸鋸で切ることになりました。
いやぁ、はかどらないこと。一ヶ所で、何十回、もしかしたら100回以上も繰り返し切ったかもしれません。それが、四ヶ所もあります。
おかげで、いつも痛い腕はもっと痛くなり、夜には丸鋸を使っている夢まで見てしまいました。


細工が終わったら、未晒し蜜蝋ワックスを磨り込みます。
白っぽかった材が、あっという間にケヤキ色に変わります。


磨り込み前。


磨り込み後。


サンダーを使って磨り込んでいましたが、途中で古いマットがあえなく分解、仕方なく、残りは手で磨り込みました。
 

ウインチを使って、天秤梁を持ちあげる実験です。
目方は十分耐えるはずですが、ワイヤーをかけるのは一ヶ所だけです。


大丈夫、持ちあがりそうです。
まず、大梁をチェーンブロックで持ち上げたあと、天秤梁をウインチで持ち上げて、コンクリートの穴に通し、それに大梁を置きます。
大梁の中には、作業中に中を歩けるよう、仮の足場板も取りつけてあります。






2 件のコメント:

昭ちゃん さんのコメント...

 一連の工程写真を見て細かいところがわかりすごいの一言です。
今から60年以上前家内の両親と兄が山仕事・製炭業の様子を写真で
調べています。 
共通したお二人さんの根性というか、
信念の共通点をつくづく感じています。

さんのコメント...

昭ちゃん
ちょっと体調を崩していて、コメントが遅くなりました。
一日休んでいる間に、夫がこれを見て、「全然違うだろう」って(笑)。大梁を上げたら、間髪を入れずに小梁を差し込まなくてはならないので、小梁を先に上げておかなくてはならず、それを、足場の悪いところにどう固定しておくか、そしてどう差し込むかがもっとも難しいところだそうです。
それに、このあたりでは「小梁」と言いますが、正しくは「桁」だそうです。

昔はカメラもフィルムも貴重品でしたから、なかなか日常生活の写真が残っていないですよね。子どものころ遊んでいた鍛冶屋さんの様子とか、瓦焼きのだるま窯とか、ときおり思い出します。写真で見たかった!鍛冶屋さんで遊ぶのも、瓦焼き屋さんで遊ぶのも、冬は暖かかったです(笑)。