2022年1月22日土曜日

平籠


 骨董市で、持ってきたものを並べているまことさんが、筵の上に籠を置いたのを遠目に見て、
「籠はもういらないよなぁ」
と思いながらも、近くで一目だけ見ようと近づきました。
「わぁっ」
久々に見る、完成度の高い籠でした。


目の詰まった平編みで、経骨(たてほね)にする太い竹、平らな部分をつくるやや太い竹、立ち上がって胴をつくる細い竹の3種類の竹ひごで、きっちり固く編み上げてあります。
経骨の太い竹ひごが立ち上がってから割ってあるのは、縁巻きをきれいにするためかと思われます。その縁巻きの見事さ、全体は真竹ですが、縁巻きは真竹ではなくすず竹(篠竹)のように見えます。


暖かい地方の真竹に、寒い地方のすず竹を組み合わせていることを考えると、その両方を産する福島、茨城あたりでつくられたものと考えるのが妥当ですが、福島は知りませんが、茨城の籠はもっと武骨なものという印象があります。真竹の細いひごの細工も、見たことがありません。


きれいに面を取ってある美しい経骨。
真竹も産地によって、質が同じではありません。これだけ見ると、あの美しいと言われている九州の真竹かと思ってしまいます。

廣島一夫さんの籠

ただ、九州の籠であれば、縁巻きも真竹だし、立ち上がりの高さがあれば、縁の下に1本竹を入れるという特徴があるので、九州の籠でなさそうです。


籠はほんの些細なことで、緊張感のあるものとそうでないもの、美しいもの美しくないものができてしまいます。
美しい感覚を持っている籠師さんの籠はどれも美しい。他の仕事も見てみたくなるような籠でした。






2 件のコメント:

rei さんのコメント...

春さんが買わずに済む筈のない籠。見事です。

さんのコメント...

reiさん
でしょでしょ?見逃せませんよね(笑)。
ありがたいことに新品で買う値段の十分の一くらいにしていただいています。ただ、このような形の籠は使うのも飾るのも難しいものです。乱れ籠にするにはちょっと小さめ、果物籠はもういっぱいあるし果物にはちょっと大きすぎる。
置かないで立てて飾るには、我が家の天井近くの棚はちょっと高すぎて、下からよく見あません。目下、どう飾るか検討中です。