昭和糊のビンです。
以下、昭和糊の紹介文です。
銀行會社諸商店工業及学生諸君家庭ニ必要品ナリ
〇糊到ル処ノ文房具店雑貨店及ビ造花材料店ニアリ
〇は読めないところ、「当」あたりが破れてしまっているのでしょうか。
このあと、ずうずうしくもご注意があります。
御注意
模造品アリ昭和糊商標ニ御注意ヲ乞ウ
昭和糊製造本舗
「模造品にご注意」とありますが、昭和糊自体がヤマト糊の模造品だったのではと思ってしまいます。
ラベルのデザインは、大手ヤマト糊の完全なパクリですし。
さらに、この糊の特徴が書かれています。
昭和糊特徴
暖國ニテモ腐敗ノ患イナク寒國ニテモ氷結ノ患イナシ
純白清潔粘力衰ヘズ
長久放置スルモ腐敗スルコトナシ
使用後速ニ乾燥ス
物ニ貼付ケタ後文字ヲ書スルモ(にじむ)憂ナシ
使用シタル物品ハ昆虫鼠害ノ憂ナク尚ホ地質ヲ損ナウ恐ナシ故ニ特殊ノ芳香ヲ有ス
小蠅等ノ群集諸物ノ黴菌ヲフセギ傳染病ノ憂ナシ
「暖国にても云々、寒国にても云々」のくだりは
東京糊やカブト糊と同じです。
「にじむ」だけがひらがなということはどういうことなのでしょう? また、特殊の芳香とはどんな香りだったのでしょう?
「伝染病の憂いなし」とは大きく出たものですが、そのくらい伝染病が多かった時代ともいえます。昭和2年(1927年)の乳児(1歳未満)の死亡率は、全国平均で14.2%、20%を超えている県もありました。
右書き(戦前)の、ラベルの残っている、我が家の糊のビンたち。
そして、左書き(戦後)の、ラベルの残っている糊ビンたちです。
昭和糊がどんな糊の会社だったのか、ネットで探しても情報はありませんでした。
2 件のコメント:
名前がもっと特徴的ならよかったけど、昭和糊ではあらゆる昭和の糊が出てきてしまいますね(笑)。
当時のどの糊メーカーも、揃って腐らないことを謳っているので、防腐剤の成分が気になりましたが、ホルマリン(ホルムアルデヒド)だったのですね!フエキ糊の方のインタビューで、ホルマリンを全く使わない糊を作るのに17年かかったと述べています。ホルマリンはとても有用で身近だったのですね。http://blog.fmk.fm/glory-old/2010/08/post-20e7.php
hiyocoさん
戦前のことですから、芳香とはホルマリンの匂いかもしれませんね。
ホルマリンと言えば、理科室に、ガラスビンに入ったいろいろな動物のホルマリン漬けがありましたが、あの匂いなのでしょうか?
腐らない糊は便利だったと思いますが、昔の糊はよく縁のあたりが固まっていた気がします。ヤマト糊がチューブを発売したのが1952年、ボトル型のプラスティック容器は1958年だそうです。チューブが早かったのですね。プラスティックボトルはガラスビンの3倍の値段だったそうです。
私は小さいころどんな糊を使っていたのかしら?全然覚えていません。ご飯粒を潰した「そっくい」などで封筒を閉めたりして、気がついたら糊はチューブだったような(笑)。
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