2013年12月20日金曜日

クリスマス飾り


子どもの頃、ク リスマスツリーを飾るのは一苦労でした。昔堅気の祖母でしたから、四季のしきたりは怠らなくても、クリスマスツリーはできれば飾りたくないと思っていたからです。
そんな祖母を説得して、一緒に山に行って、とげとげで青い実の生っている、「モロ」という木をさがして切って来てもらい、持ち帰りました。
そして、手持ちのクリスマス飾りを、遠慮しいしい飾るのですが、オーナメントの数は少なく、画用紙に自分で描いてつくったものもぶら下げて賑わいを増し、雪に見立てた綿をちぎって枝に乗せても、それはとてもつつましいものでした。
玄関の土間の、夜は自転車をしまうその奥が、クリスマスツリーの定位置でしたが、ほとんど目立ちさえしませんでした。
オーナメント自体もちゃちなつくりでしたから、仕舞っている間につぶれたりして長持ちしせず、年々減ってしまったような気もします。

ところが昨年、kuskusさんのクリスマスの飾りを見たら、そんな昔のオーナメントが飾られていて、すごく新鮮でした。まるで、記憶の底の方に押し込めていた子ども時代の懐かしさが、よみがえってくるようでした。


私が小さい頃、クリスマスオーナメントと言ったら、こんなのばっかりでした。
モールと呼ばれる、針金に色糸を絡ませたもので身体をつくり、顔を貼りつけたものです。身体はモールではなく、紙を円錐形にして、色紙や銀紙を貼ったものもありました。

自分が小さい頃にはごくありふれたものだったから、いつも骨董屋のさわださんが持っていても、欲しいと思ったこともありませんでした。


ところが今年は、さわださんが持っていたモールのオーナメントを買ってみる気になりました。
一つ100円でした。

 
遊びに来て、これを見たkuskusさんによれば、
「顔は紙でできていて、目や髭は印刷ね」
ということでした。
積極的には細かいものを見ないので(もちろん目のせいで)、気がつきませんでしたが、言われてみればどの顔もそっくりです。

ところが、kuskusさんが子どもの頃から持っているオーナメントは、顔が土でできていて、目や口は手描きだそうです。しめ縄に飾る海老同様、モールのサンタクロースの顔にも、土の顔や紙の顔があったのです。紙だと印刷できますから、大量生産できますが、それとて印刷のあと厚紙を貼って、立体的に型抜きするのですから、手間はかかります。

モールに顔を貼りつけたサンタクロースのクリスマスオーナメントは十年、あるいはそれ以上、意外と長い期間つくられていたのだったのでしょう。

 
一緒に買ったのは、クリスマス用の電球です。
「どれも彩色してあったんだけど、色が取れちゃったんだ」
とさわださん。
花かぶどうか、これはどんな色が塗られていたのでしょう?あまりクリスマス気分はしませんが、ガラスだけで見ても、十分素敵です。


色が取れたものがいくつかあった中で、これだけ色が残っていました。
裏表ともサンタクロースの顔がついています。


「モールのオーナメントは、私たちが小さい頃いっぱいあったけれど、こんな電球は見なかったね。お金持ちの家にあったのかしら?」
と、やはり遊びに来ていたなつさん。

あとで調べてみたら、この電飾用電球は、1940年代、50年代につくられた輸出用のものだったようです。


安っぽさがたまらないクリスマス飾り。
戦後、みんなが一生懸命生きていた時代に、小さな町工場でつくられたものに違いありません。




4 件のコメント:

kuskus さんのコメント...

春さんのモールサンタの顔は紙の型押しのようでしたが、
ぐるりに細かい切れ目が入っていてていねいに作られた
感じでしたね。
家に帰って私のサンタの顔を見てみたら、内職のおばさんが数をこなすためにろくろく顔も見ずに描き飛ばしたような顔でした(苦笑)。
作られた時代の背景が見えるようですね。

さんのコメント...

kuskusさん
あれからモールサンタで検索したら出てくるわ出てくるわで、数年前までは、デッドストックで「顔だけ」とか残っていて、「モールサンタ教室」まで開かれていたようでした(笑)。
ところが面白いのは顔で、ほとんど全部同じ顔です。違うバージョンもあるけれどそれはそれでまた大量にあったりして、たぶん顔を印刷して型抜きする工場は数が少なかったとみえます。
あと、個人作家でモールサンタをつくっていた人までいて、顔はあのなんとなく情けない顔に似せて、三角の目を一つ一つ描いていました(笑)。
モールサンタ一つとってもなんか社会勉強になりますね。

topcat さんのコメント...

古いオーナメントなんて初めて見ました。面白いですねー!
外国にいくと、お節句の飾りみたいに、代々継がれるものとかもあるのかしら。それとも正月飾のように毎年交換されてしまうのかな。興味深いです。
僕らのツリーオーナメントなんて全部発泡スチロールの加工品でしたから、すぐに壊れて首だけ天使や帽子だけサンタばかりになり、捨てられてしまいました。もしかしたらまだ無事なやつはツリー(既製品)と一緒に物置に封印されているかもしれませんが、恐らく2度と日の目は見ないと思われます(笑)
こんな素敵な、モールのサンタだったら絶対毎年楽しみながら飾るのですが。

さんのコメント...

topcatさん
モールサンタ初めて見ましたか。私の周りの人は、モールサンタを知っている人ばかりです(笑)。そうか、発泡スチロールのオーナメントまであったのですね。日本人は体裁が整えば何でもいいという感じですから。
クリスマスオーナメントはそれぞれ民族によっても違うと思いますが、ガラスボール(ボーブル)を代々引き継いだのは共通していたようです。吹いたガラスに彩色したもので、ターシャテューダは、ひいおばあさんが持っていた、1850年代のガラスボールを毎年飾っていました。あと、ターシャのクリスマスで面白いのは、ツリーの木を直前に切って(火事にならないため)、それに特別な蜀台をつけて、ろうそくで火を灯しています。焼いたジンジャーブレッド(ショウガ味の固いクッキー)もぶら下げています。
とっても素敵ですが、雛祭り以上に飾る作業が大変そうで、絶対真似できないですね。