長男が、
「お土産だよ。つぶれそうな紀伊国屋で売っていたから」
と、袋から次々に取り出したのは、8個のガチャガチャのカプセルでした。
「紀伊国屋でさえつぶれそうなのか。本店で買ったの?それとも高島屋店?」
「高島屋店はとっくにつぶれちゃったよ」
「へぇぇ!」
本屋さんは、どこも大変なようです。
カプセルは、海洋堂と中川政七商店のコラボレーション企画の「まめ郷土玩具」でした。
「なんだ、知っていたのか」
「ずいぶん前からあったけど、売られているところが限られているから、ガチャガチャでは見たことがないよ」
これを発売した中川政七商店は、蚊帳でつくった布巾などを売っているお店で、以前はネットで見ることもありましたが、昨年だったか楽天市場から抜けたので、まめ郷土玩具どころか、商店のホームページさえ見ることがなくなっています。
最初に出てきたのは、天神さまでした。
大分県の赤兵子天神です。手びねりの人形で短期間で廃絶してしまったそう、『日本郷土玩具辞典』にも載っていないので、いつごろのものかもわかりませんが、今でも復刻版はつくられているようです。
一つだけ、ボール紙を添えて丁寧に包装したのがありました。
茨城県那珂湊の張り子の、首ふり兎でした。首が、ばねのようなもので動きます。だから、壊れないように丁寧に包装してあったのです。
那珂湊の張り子は明治の初めからつくられはじめ、他の地方の多くの縁起物が養蚕と関係していたのに、那珂湊は海に近いことから、大漁を願う縁起物として発達しました。一時中断していましたが、戦後復活しています。
かつては、村松虚空蔵堂の「十三詣り」の土産物として売られていました。寅年に売られた虎が評判だったので、次の卯年に兎の首ふりをつくったけれど、あとは続かなかったというのは、なかなか面白い話です。
岐阜県の市原人形です。
市原人形は、明治中期からつくられはじめ、戦前はかなり栄えていたようです。もともとは節句人形が主で、大きなものだったらしく、立った娘などはミニチュアにしづらいのか、これはたぶん、わりと新しくつくられた(と思われる)干支人形です。
結局、6種類あるうちの4種類が出てきて、出てこなかったのは、長崎県の古賀人形の「厄を取り去る(鶏猿)」と、神奈川県の横浜開港人形でした。
それにしても、こんな小さな人形、しかも膨大な数にどうやって絵つけするのか、比べてみましたが、首の下の線を見ると微妙に違う、やっぱり筆で描いているのでしょう。
4 件のコメント:
お土産というところがいいなぁと思いました。
お母様の好みを知る、息子さんならではの大人買いですね。
ガチャガチャ、見直しました^_^で、因みに一個いくらなのでしょうか?
Akemi Fujimaさん
1個400円だそうです。その昔、招き猫のフィギュアを見つけてくれた時は、彼は貧乏人だったので要るかどうか訊いてきて、買ってくれて、後で私がお金を払ったこともありました(http://koharu2009.blogspot.com/2012/12/blog-post_22.html、笑)。いつも、ガチャガチャはチェックしているのかな?
400円!それは大人価格ですね!聞かずに買ってきてくれたとは今は収入が安定されたのですね。良かった良かった。なんて、ミリオンセラー作家に失礼ですね。
8個買って、全部で6種類に対してダブり確率を考えて8個買ってこられたのでしょうか。4個のダブリはちょっとがっかりでしたね。でも、春さんだとそれも楽しんで観察してしまうんだなと思いました。
次の帰省が楽しみですね。何個買って来られるかしら。笑
ガチャガチャはヨーロッパにも輸出されてるとかテレビでみたことあります。いかにも日本らしい発想だと思うのですが日本で発明された販売方法なのかなぁ。
Akemi Fujimaさん
ガチャガチャ、カプセルトイはもともと、アメリカでガムを売っていたものにおもちゃを入れたのが日本に輸入されたものです。
日本で最初のブームが起きたのはおもちゃ消しゴムでしたが、大きく変わったのは、海洋堂という会社が、精巧なフィギュアをつくり(職人さんの力)それを中国のものづくりの技術が支えるというコラボが始まってからだと思います。「日本、すごい!」と言われるようですが、中国の手先の細かさがないとできないものです。
技術力の高いものが出回り始めた2000年ころ、息子は「中国がつくっている間だけで、いっときで消えるものだから」と言っていましたが、どっこい、まだまだ続いています。小さなカプセルに、何を詰めるか、わくわく仕事をなさっている方がいらっしゃるのでしょう。組み立てるとカプセルよりずっと大きくなるものまで、いろいろあります。
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